二度の世界大戦を生き抜いた幸運艦も遂に…。

ロシア帝国→ソ連→ロシア連邦の三代で現役

 ウクライナ国防省は2024年4月21日、ロシア黒海艦隊の拠点であるクリミア半島のセヴァストポリ海軍基地を攻撃、そこにいた潜水艦救難艦「コムーナ」に損害を与えたと発表しました。

 同艦はロシア黒海艦隊唯一の潜水艦救難艦であり、かつ2024年現在、現役で運用されている軍艦では世界最古のものでもあります。

「コムーナ」が進水したのは、第一次世界大戦が起きる前の1913年11月のこと。当初は潜水艦に魚雷や食料、燃料などを洋上で供給する潜水艦母艦として建造されました。

 最初の艦名は「ヴォルホフ」。第一次世界大戦中の1915年7月に就役するとバルト海艦隊(バルチック艦隊)の所属となりますが、ロシア内戦でソビエト海軍の船となり、ソビエト連邦成立直後の1922年12月に「コムーナ」へと改名しています。

 第二次世界大戦を生き抜くと、1967年に黒海艦隊へと移管され、そこで深海救難艇の運用能力が付与されています。ただ、1980年代に入ると老朽化のためにほとんど活動は停止。しかも1990年代初頭にソビエト連邦が崩壊すると、ロシア海軍に艦籍が移管されるも荒れ果てた状態で放置されるようになります。

 しかし、ロシア海軍にとって貴重な支援艦であったことから、大幅な修復作業が施され、2000年代以降、潜水艦救難艦として運用が続けられました。

 欧米メディアによると、攻撃には長射程のネプチューン対艦ミサイルが用いられたとのこと。なおSNSには現地住民が撮影したとされる「コムーナ」の炎上する様子も映像で流れており、現地メディアもウクライナ軍のミサイル攻撃によって、「コムーナ」に火災が発生し、航行不能に陥ったと報じています。

 今回の攻撃によって大破した「コムーナ」、ロシア海軍が修復し運用を続けるのか、それともこれを機に運用を諦め退役させるのか、「現役最古」の軍艦の去就に注目が集まっています。