猫は何かをしなくても、ただそこに居るだけで私たち人間の感情に変化をもたらすことがある生き物。それ故か長年一緒に暮らしていても飽きることがありません。

茶白猫のむぎ君と暮らしている飼い主さんは、ある日の夜中、喉が乾いて目が覚めたのでリビングへ行って電気を点けたと言います。その時、目に飛び込んできた光景がこちら。

壁に取り付けられた大きなテレビ。その下にある台には猫の写真やイラストなどが飾られていて、ネコ好きなお家であることが伝わってくる空間ですが、とりわけ目を引くのは真ん中に置かれたぬいぐるみのような物体。その向きは正面ではなく、こちら側を見つめように置かれていて、ひとつだけ生命力があるような存在感を放っています。

それもそのはず、この物体の正体は茶白猫のむぎ君。一見するとオブジェのようにも見えますが、近くに寄って見てみるとフワフワの毛をまとった正真正銘の猫であり、真夜中のリビングで照明を浴びながらたたずんでいる姿はどことなく神秘的。深夜に突然こんな場面に遭遇したらビックリして眠れなくなってしまいそうです。

飼い主さんによると、お家の中にはいろいろな場所に猫用ベッドが設置されているものの、むぎ君はテレビボードの上が一番お気に入りなため、この場所で寝ているのは普段から良く見かける光景なのだそう。しかし、この写真が撮影された時間帯は夜中で、直前までリビングは暗闇の状態だったはず。実際に猫ちゃんの表情はとても眩しそうで、ついさっきまでぐっすり寝ていたように見受けられますが、なぜ電気が点いた時点で上半身を起こしたまま座っていたのでしょうか。

飼い主さんにお話を聞いてみると、「私の気配を察知して起きていたのではないでしょうか。急に私が起きてきて電気も点いたので、『もう起きる時間なの?』と思ったのかも知れません。」と推測。確かに時計が読めない猫にとって夜中の時間を確認する術はありません。いつもはまだ寝ている頃なのに、不意に飼い主さんがやって来たので朝と勘違いしてしまったようです。

一方、最初リビングへやって来た時は、テレビボードの上に猫がいることに気が付かなかったという飼い主さん。いきなりその存在が目に飛び込んできて驚いたと同時に、光に照らされながら渋い顔で自分の方を見ていたので、思わず笑ってしまったのだとか。ただ存在するだけで驚きや笑いを与えてくれるのも猫が持つ魅力の一つ、そんな事を感じさせてくれる微笑ましいエピソードですね。

この後、飼い主さんはむぎ君に話しかけてから水を飲み、部屋に戻って寝ることに。むぎ君もまだ眠かったのか、電気を消すまでベッドの上から動くことはなかったと言います。

むぎ君は11歳の男の子。元々はお外で暮らしていた猫ちゃんで、ケガをしていたところに出会ったのが飼い主さん。すぐさま動物病院に連れて行ってもらい、幸運なことにそのまま家族として迎え入れられることに。普段お家の中ではほとんど寝て過ごしているけれど、飼い主さんがお風呂に入る時は絶対についてくるという人懐っこい性格なのだとか。

そんなむぎ君と暮らし始めてからは、飼い主さんの心境に変化があったようで「猫が来てから養う家族ができたような気持ちになり、頑張って仕事をしようと思うようになりました。」と述懐。また、「おデブで見ているだけで面白い存在なので毎日が楽しいです。」とも語り、充実した猫ライフを送っていることを明かしてくれました。