コンビニ大手「セブン−イレブン」の1号店が開業して今月で50年を迎えました。今や生活に欠かせないインフラとなったコンビニ。進化の軌跡をたどりました。

■進化を続ける“街のインフラ”

 日本のコンビニの歴史。それは、今から50年前の1974年5月15日、セブン−イレブン1号店が東京の豊洲にオープンしたことで始まりました。本格的なフランチャイズのコンビニエンスストアとしては、日本で初めてのことでした。

 一番最初に売れた記念すべき商品は、なんだと思いますか。

 正解は、なんと「サングラス」。レジカウンターの近くにあったものを、開店時間の午前7時前に来た男性が購入したといいます。

40代の人
「売ってるんですか、50年前に」
70代の人
「(私が)二十歳くらいの時はディスコがはやり始めて、サングラスは皆していた」

 1970年代初頭は、高度経済成長期。大阪万博で人々が熱狂し…第2次ベビーブームで、団塊ジュニアが誕生した時代でした。「アメリカとは違い、日本でコンビニはうまくいかない」という反対意見が出ていたといいます。

 ところが半世紀の時を経て、コンビニは今や全国5万5000店舗余りにまで拡大。人々の想像を超える進化を遂げることになります。

 「コンビニの進化の歴史」を教えてくれるのは、セブン−イレブン・ジャパンの取締役執行役員・桝尾威彦さんです。

セブン−イレブン・ジャパン 取締役 執行役員 桝尾威彦さん
「(Q.どういう場所が大きく変わった?)一番特徴的なのはこちらのアイスクリームケース。以前はカウンターの横にノベルティーアイスストッカーという、よく駄菓子屋さんにあった約1メートルのアイスクリームケース。今は大型のアイスクリームケースに」

 皆さん、覚えていますでしょうか。昔のアイスケースです。

布施宏倖アナウンサー
「私も小さいころによく買っていたのは、冷蔵庫みたいな形でふたを開け閉めしてアイスを取り出していた」

桝尾威彦さん
「品ぞろえも限られていたし、以前アイスクリームは『夏に食べるもの』。冬はなかなか売れなかった」

 そこで、小さなケースから大型のケースへ変更。品ぞろえを増やし、商品を見やすくする大胆なレイアウトにした結果…。

桝尾威彦さん
「今では当時の10倍ほど販売数も変わってきた」

 2004年から現在まで使っているケースには、扉がありません。その訳は…。

桝尾威彦さん
「この上段に棚を置いて天井から来る輻射熱(ふくしゃねつ)を棚で遮断し、また冷気を棚で遮断するので節電効果にもなるし、温度帯もいい形で保持できる。進化してきている」

 コンビニの定番「おにぎり」は、1978年に販売を開始。当初は、一日2〜3個しか売れなかったといいます。ところが、今では年間販売数が22億個を超えるほどにまで成長。大ヒットの転機となったのが…。

桝尾威彦さん
「お米とのりの良さを引き出すために、直接おにぎりとのりをくっつけないで、中にフィルムを入れてパリパリのおにぎりを当時発売したら大ヒットになった。セブン−イレブンが初めて」

 誕生の背景にあったのは“女性の社会進出”だといいます。

桝尾威彦さん
「元々は、おにぎりもお弁当もお母さんが作る文化があった。色々と働き方も多様化して、家庭で作って持っていくのも結構大変だったと思う。そういう潜在ニーズを商品を通しながら顕在化していった歴史」

 おにぎりは「買うものではなく家庭で作るもの」という当時の常識を覆し、新たな常識を創り出しました。

 開店当初は名前の通り、午前7時から午後11時までの営業だったのが…。「24時間営業」になっただけでなく、売っている品やサービスは多岐に渡っています。

30代の人
「家にプリンターがないので、印刷するのはセブン−イレブン」

 進化を続けているコンビニが、これからの時代で目指すことは。

桝尾威彦さん
「少子高齢化、共働き世帯が増えてくる。消費も家族分を買うというよりも、1人分。ニーズもどんどん変化して、商品のあり方も研究しながらどんどん変えてきた。今後も地域に応じた便利というものは何かを追求していかないといけないと思っている」