子どものころから宇宙が大好きだった。

特にアメリカのNASAが打ち上げる「スペースシャトル」は、あこがれの対象で、21世紀には誰もが「スペースシャトル」で月旅行に行けると思っていた。21世紀になって20年以上が経つが、月旅行はまだ実現していない。

一方、当時は想像すらしなかったが、アメリカではなく中国が、宇宙開発の分野で急速に存在感を増してきている。

今回ANNは日本メディアで唯一、有人宇宙船「神舟18号」の打ち上げを取材した。そこで感じたのは中国が「宇宙強国」に向け、着実に歩みを進める姿だった。

中国便り21号
ANN中国総局長 冨坂範明  2024年4月

■発射2日前 砂漠の中の「ロケットの街」へ

ANNが中国でロケット発射の現場を取材するのは、実に11年ぶりだ。

4月23日午前11時、発射の2日前に、私とカメラマンは北京を出発した。

北京を飛び立った飛行機は甘粛省の蘭州市に立ち寄り、およそ5時間かけて最寄りの嘉峪関(かよくかん)空港に到着した。窓から見える景色は、一面の砂の大地。さらにここから、「酒泉(しゅせん)衛星発射センター」に最も近い、酒泉市金塔(きんとう)へと車で1時間半かけて移動する。

漢の時代には郡が設置されたという伝統ある辺境の街は、1958年にロケット発射場ができて以来、「ロケットの街」としても発展してきた。発射センターの周辺には36000人が住み、多くが宇宙産業に従事しているという。
街の大通りの名前は中国語で宇宙を表す「航天大通り」に、宇宙船の名前からとった「神舟大通り」。街路灯には、ロケットのイラストが描かれている。驚いたのは、マンホールの図柄までロケットだったことだ。

マンホールもロケットの図柄
マンホールもロケットの図柄
「家の近くでロケットが発射されるたびに嬉しくなる」
「ロケット基地は街の誇りだ」

地元の人たちは、街がロケットの発射拠点となっていることに、誇りを持っていた。それもそのはず、中国に衛星発射センターは4カ所あるが、有人の宇宙船はすべてここ「酒泉」から発射されている。それだけ、技術の粋を集めた場所だということだろう。

最も近い街とは言え、発射センターまでは、さらにバスで3時間かかる。

翌日も続く長距離移動に備え、早めにホテルで休む取材陣が多かった。


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