河野太郎デジタル大臣は14日の会見で、フロッピーディスクに関する規制(フロッピーディスクでの提出などを求める手続き)1034件が6月中に全廃される見通しであることを明らかにしました。

2年前、このフロッピーディスクが注目を集めた事件が山口県でありました。(2023年12月の取材)

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2022年に山口県阿武町で起きた4630万円の誤振り込み事件です。

事件とは直接関係ありませんでしたが、町では、このフロッピーディスクを使って振り込み先のデータを金融機関に渡していて、まだ使われていたことに驚きの声も上がりました。このフロッピーディスク、阿武町でも今は使用をやめています。

去年4月、阿武町が新型コロナの給付金・4630万円を誤って1人の男に振り込んだ事件。

阿武町 副町長(2022年4月の会見)
「ちょっと信じられないかもしれませんけど、まだ阿武町役場と銀行間では、フロッピーディスクを使って支払い等を行っております」
町がフロッピーディスクを使って、金融機関に振込先のデータを渡していたことも世間に驚きを与えました。

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フロッピーディスクとは、アメリカのIBM社が1971年に開発したパソコン用の記録媒体です。記録容量は最大で1.4メガバイト、現在よく使われる「G(ギガ)」に置きかえると、約0.0014ギガバイト。新しいメディアの出現や、取り扱うデータの大容量化で次第に使われなくなり、ソニーでは2011年に製造を中止しました。

この事件を受けて、「生きとったんか」「全国の市区町村でもまだまだ現役なんでしょうか?」このような声がX・旧ツイッター上にあがり、トレンドワードの上位にランクインしました。

当時、専門家に話を聞くと…。
「容量の小さいフロッピーディスクがいまだに業務で使われていることに驚きました。画像を1枚も保存できない容量だと思います。ただ、USBと比較しても特別、安全性に問題があるわけではありません。私も昔のデータが保存されたフロッピーディスクを持っていますが、ドライブ(記録装置)を持っていないので、データを移行できないまま放置してしまっています・・・」と話していました。

当時、金融機関に振込先のデータを渡す目的で、フロッピーディスクを使っている自治体はいくつかありましたが、そのほとんどが移行を始めていました。
阿武町は、2023年2月にいったんフロッピーディスクからDVDに切り替え、23年10月10日の振り込み分から、電送システムに切り替えました。

町出納室によりますと、切り替えのきっかけは誤振り込みの事件で、金融機関とのデータのやりとりなどのテストを経て、切り替わったということです。地方銀行や信用金庫などの金融機関で利用でき、金融機関へ持ち込む手間が省けるメリットがあるということです。

(2023年12月取材)