JR東日本「大人の休日倶楽部パス(通称:オトキューパス)」の2024年度・第1回分が発売されました。50歳以上のミドルエイジには人気のきっぷなのですが、どんなものなのでしょうか。

6月20日から7月2日までの連続5日間“乗り放題”になるきっぷ

 JR東日本「大人の休日倶楽部パス」が現在、販売されています。

 利用できる期間は2024年6月20日から同年7月2日までの、連続する5日間となっています。

 2024年度はほかに秋と冬に1回ずつ、合計3回の設定期間が設けられていますが、初夏の旅となる今回が第1回目となります。

 大人の休日倶楽部パスとは、JR東日本の会員組織「大人の休日倶楽部」の会員向けに販売する“乗り放題”の企画商品です。

 大人の休日倶楽部には2種類があり、「大人の休日倶楽部ミドル」は満50歳から65歳以下、「大人の休日倶楽部ジパング」は満65歳以上が入会できます。

 つまり、50歳以上の人に向けたおトクなきっぷが、大人の休日倶楽部パスということです。49歳以下の人は購入できません。

 会員向けの大人の休日倶楽部パスは「東日本」「東日本・北海道」「北海道」の3タイプが用意されます。

 一番人気の「東日本」は、JR東日本の新幹線や特急、急行、快速、普通列車が利用可能です(北海道新幹線 新青森〜新函館北斗間、北陸新幹線 上越妙高〜敦賀間は利用不可)。

 また青い森鉄道線、いわて銀河鉄道線、三陸鉄道線、北越急行線、伊豆急行線、富士急行線、えちごトキめき鉄道線(直江津〜新井間)JR東日本のBRT(バス高速輸送システム)が利用範囲となります。

「北海道」は、JR北海道在来線全線の特急、急行、快速、普通列車の普通車自由席となります(北海道新幹線 新青森〜新函館北斗間は利用不可)。

「東日本・北海道」は、「東日本」の範囲に、新青森以北の北海道新幹線を含むJR北海道全線が加わります。

 さらに大人の休日倶楽部パスは、普通車用に加えグリーン車用も用意されます。

 価格は、JR東日本のインターネット指定券予約サイト「えきねっと」を使えば、「東日本」は普通車が1万8800円、グリーン車は3万5000円、「東日本・北海道」は普通車が2万6620円、グリーン車は5万円、「北海道」は普通車が1万7400円、グリーン車が3万5000円で、有効期限(乗り放題となる期間)はすべて連続する5日間です。

 グリーン車用はえきねっと限定販売、また「みどりの窓口」など、えきねっとを使わないで購入する場合はそれぞれ1000円プラスの価格になっています。

 取り扱いはJR東日本の主な駅の指定席券売機、みどりの窓口、駅たびコンシェルジュ、JR北海道の主な駅のみどりの窓口のほか、JR東日本のインターネット予約サイト「えきねっと」です(「東日本」はJR北海道では未発売、「北海道」はJR東日本では未発売)。購入にあたっては、利用開始日の指定が必要です。

 販売は利用開始日の1か月前から前日までで、決済はクレジットカード「大人の休日倶楽部カード」限定となります。

 2023年度はどう変更されたのでしょうか。一番人気のある「東日本」で見ていきましょう。

 まず、価格が改定されています。従来は1万5270円だったところ、2024年度は「えきねっと」で購入する場合を考えると3530円値上げの1万8800円。窓口購入の場合は4530円も値上げされています。

 有効期間が従来の4日から5日に伸びたのも特徴です。

 これを1日あたりで換算すると、2023年度までは3817円、2024年度は3760円となり、毎日フルで乗り放題したい人にとっては格安になった、という見方もできます。

 ただしSNSなどでは「連続5日間も休みが取れない」「5日間も旅行したら疲れてしまう」などの声もありますので、実質は値上げと受け止めていいでしょう。

東京駅−新青森駅の単純往復だけでも1万円以上おトクになる

 では、大人の休日倶楽部パスはどのくらい“おトク”なのでしょうか。

JR東日本/JR北海道だけでなく、「青い森鉄道」などの第3セクター、一部私鉄にも乗ることができるのが「大人の休日倶楽部パス」の魅力だ

 たとえば東北新幹線 普通車で東京〜新青森を通常期に指定席で往復した場合を考えてみましょう。この区間を紙のきっぷで利用すると、運賃と指定席券の合計は3万3260円です。

 しかし「大人の休日倶楽部パス 東日本(普通車)」を「えきねっと」で購入すれば1万8800円なので、それだけでも1万4460円も安くなります。

 単純往復でもここまで安くなるため、途中下車しても、目的地周辺で観光地を巡っても、乗り放題の範囲内では追加の運賃や料金の支払いは不要なので、実際はさらにお得になるはずです。

「大人の休日倶楽部」には年会費(「ミドル」は初年度無料、翌年度から2624円、「ジパング」は初年度から4364円)がかかりますが、この差額があれば、年会費をカバーできます。

 またあらかじめ座席の指定を受ければ、6回まで普通車指定席を利用することができるため、全車指定席の新幹線「はやぶさ」「こまち」「つばさ」や、特急「わかしお」「ひたち」「ときわ」などにも乗ることができます。

 なお「大人の休日倶楽部パス」は発売枚数が限定され、「東日本」「東日本・北海道」「北海道」の合計で、利用開始日ごとに普通車は3万枚、グリーン車は1000枚限定となっています。限定枚数に達した場合はその利用開始日分の発売を終了となります。

大人の休日倶楽部パス(東日本)。価格は1万8800円で、JR東日本の新幹線や特急、急行、快速、普通列車が利用可能

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 2024年度の第1回の発売期間は2024年6月27日までで、利用期間は同年6月20日から7月2日となっています。

 大人の休日倶楽部パスの2024年度は、第3回まで設定されています。

 第2回の発売は同年8月26日から10月3日で、利用期間は同年9月26日から10月8日、第3回の発売は同年12月16日から2025年1月23日で、利用期間は2025年1月16日から1月28日です。

 今回の発売期間では休日の予定が合わない人、秋や冬に訪ねたい観光地がある人は、こちらもぜひ検討してみてください。