県などは15日、本県農業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環で、県農業農村整備ICT施工技術研究会を立ち上げた。農業、建設両分野の担い手不足が深刻化する中、情報通信技術(ICT)の活用を推進し、圃場整備工事の省力化を図る。本年度は県内3カ所でモデル工事を行い、ICT施工の県内普及に向けた課題の掘り起こしを進める。

 ICT施工は、建設業の技術者不足や農業の担い手不足を補う技術として期待が高い。一方、圃場整備では多くの土を移動させるため、工事の進捗(しんちょく)に合わせて設計を見直し、数値を入れ直す必要があるため、ICTの活用が難しいという。

 施工段階で得られた3次元位置情報を農業機械の自動走行に活用するなど、スマート農業への応用にもつながるとする。県によると、ICTを活用した工事件数は昨年度は5件にとどまっており、26年度には20件まで増やす考えだ。

 普及拡大の先駆けとなるモデル地区は鶴子六沢地区(尾花沢市)、沖の原1期地区(舟形町)、岡山地区(鶴岡市)の3カ所。ダイコンやスイカの栽培を予定する鶴子六沢地区は本年度、27.9ヘクタールのうち、17.2ヘクタール分の区画整理工事を行う。ドローンを用いた起工測量や3次元設計データの作成、ブルドーザーによる自動整地を予定している。

 研究会の初会合が15日、県庁で開かれ、県や建設関係団体の担当者らが研究会の活動内容などについて協議した。出席者からは「施工段階で得たデータをいかに社会循環させるかが重要だ」などの意見が出た。