落語家の桂ざこばさんが、76歳で亡くなりました。死因となった喘息は、子どもから大人まで苦しむ人が多い病気です。どのような病気なのか、長崎大学呼吸器内科教授の 迎寛 さんに聞きました。(聞き手・道丸摩耶)
アレルギー物質の刺激で発作
――喘息とはどのような病気ですか。
人が呼吸するときの空気の通り道である気道の主に気管支部分に炎症が起きる病気です。炎症によって気道がせまくなるため息苦しくなり、発作を起こすと、せきやたんが出たり、ぜーぜーと音が鳴ったりします。ウイルスやアレルギーを起こす物質などの刺激によって、発作が起きるとされています。発作が起きた場合は、気管支拡張薬の吸入とステロイドの内服や点滴で治療を行います。
――慢性疾患なのでしょうか。
すぐに良くなる病気ではありません。慢性的に炎症が持続すると考えられます。調子が良く発作が起きないからといって薬をやめると、また発作を繰り返すこともあります。根気強く治療を継続することが大事です。
――ざこばさんの死因は「喘息」でした。死亡することも多いのですか。
重い発作を起こすと、気道が閉塞して肺に空気が入らない窒息状態となり、亡くなることがあります。昔は年間数千人が亡くなっていましたが、今は一般的な治療があまり効かない場合に使われる薬も出て、症状がコントロールできるようになってきました。それでも、厚生労働省の「人口動態統計」では、2021年に1000人以上が亡くなっており、決して過去の病気ではありません。高齢者や体が弱っている人は特に注意が必要です。
――予防策があれば、教えてください。
発作が起きると命にかかわる病気ですので、普段のステロイドの定期吸入を中心としたコントロールが大事になります。風邪などの刺激で悪くなりますので、体調管理に気をつけること。そして、少しでもおかしいなと思ったら、早めに治療を受けてください。
むかえ・ひろし
1985年、長崎大学医学部卒。同大学や宮崎医科大学(当時)、産業医科大学などを経て、2015年から長崎大学大学院呼吸器内科学分野(第二内科)教授。19年4月から24年3月まで、長崎大学病院副病院長。