【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と日本の岸田文雄首相、中国の李強首相は27日、約4年半ぶりとなる3カ国首脳会談をソウルで開き、共同宣言を採択したものの、北朝鮮や朝鮮半島の非核化を目標とするなどの文言は盛り込まれなかった。

 米中の戦略的競争の激化にともなう新冷戦の様相が強まる中、「韓米日」対「中ロ朝」の構図が明確になり、これまで例外なく同意してきた中国が宣言に盛り込むことに反対したのではないかとの見方が出ている。

 韓中日は共同宣言で、「われわれは域内の平和と安定、朝鮮半島の非核化、拉致問題に対する立場をそれぞれ改めて強調した」と明記した。

 非核化を巡り共通の認識を示してきたこれまでの会談とことなり、3カ国が朝鮮半島の安全保障に関連して最も重要視する問題についてそれぞれ立場を示したものと受け止められる。中国が「域内の平和と安定」、韓国が「朝鮮半島の非核化」、日本が「拉致問題」について強調したという。

 これまでの会談で韓中日は、北朝鮮に対しての見解に根本的な部分で相違があっても、北朝鮮の非核化という目標については同じ見解を示していた。

 2008年12月の第1回首脳会談では、「今後(北朝鮮核問題を巡る)6カ国協議などを通じて北の非核化実現に向けて緊密な協議を続けていくことで合意した」という文言が盛り込まれ、その後もほぼ毎回これに関連する文言が盛り込まれた。2018年5月の第7回会談では「われわれは朝鮮半島の完全な非核化を約束する」、19年12月の第8回会談では「われわれは朝鮮半島の完全な非核化のために努力する」との文言が盛り込まれた。

 非核化に関連した内容が入らなかったのは2012年5月の第5回会談が唯一だった。

 今回、非核化に向けた目標が明記されなかったのは、中国が戦略的に北朝鮮の肩を持ったためとの見方が出ている。

 首脳会議後に行われた共同記者会見でも北朝鮮の人工衛星打ち上げに対する立場について違いが確認された。

 尹大統領は北朝鮮がこの日、衛星の打ち上げを予告したことについて、「明白な国連安全保障理事会決議違反であり、国際社会が断固として対応していかなければならない」と強調した。岸田首相も、仮に発射を強行すれば国連安保理決議違反であり、北朝鮮に強く中止を求めると述べた。

 一方、中国の李首相はこの問題について触れなかった。朝鮮半島情勢と関連して「中国は終始一貫して朝鮮半島の平和と安定を推進し、朝鮮半島問題の政治的な解決を推進している」とし「関係国は自制を維持し事態がさらに悪化し複雑になることを予防しなければならない」と述べ、朝鮮半島情勢の安定化について、北朝鮮に焦点を合わせずに、韓米日を含めた関係国全体に責任があるかのように自制を求めた。

 ただ一部の専門家の間では、今回の首脳会談の目標の一つが韓中の戦略的な意思疎通強化であったため、見解の相違よりも意思疎通のメカニズムを用意したことに注目する必要があるとの見方も出ている。