長州藩や明治政府で軍人や司法大臣などとして活躍した山田顕義(1844〜92)の生誕180年を記念した企画展が、防府天満宮(山口県防府市松崎町)で開かれている。天満宮の歴史館顧問を務める一坂太郎さん所蔵の史料「春風文庫」からの出品を中心に、山田の書や山田宛ての書簡など計11点を紹介している。

 松下村塾で吉田松陰に学んだ山田は、兵学者の大村益次郎から西洋兵学の教えを受け、戊辰戦争や西南戦争などで軍人として活躍。一方、初代司法大臣として民法や商法といった近代法典の編纂(へんさん)に尽力し、「小ナポレオン」とも称された。

 企画展では、山田が北海道を視察した際に大自然を詠んだ漢詩、亡くなる年に山口に帰省した際に揮毫(きごう)した書、第3師団長だった桂太郎が山田に充てた年賀状などを展示。長州藩士の児玉少介が政府要人らとやりとりした書簡を貼り付けたびょうぶも目を引く。

 一坂さんは「山田は中国の明時代の書を本格的に学んだらしく、書は個性的で面白い」と話す。企画展は10月末まで。(大室一也)