これまで60歳未満の入居希望者は親族との同居を要件としてきた県営住宅に、単身者や里子、宣誓した同性パートナーなども入居できるよう改正する条例案を県がまとめた。空き家を解消し、コミュニティーの活性化を図るという。10月の入居募集にあわせた施行を目指し、県は今月16日までパブリックコメントを実施している。

 国の公営住宅法改正により、60歳未満の入居希望者が親族の同居を必要とする要件は廃止され、判断は各自治体に委ねられたが、県は条例で要件を維持してきた。この理由について、ある県議は「当時は入居の競争倍率が高く、要件緩和で一層競争が激しくなることから、県も議会側も(要件廃止に)積極的ではなかった」と指摘する。

 しかし近年は、高齢世帯や空き家が増え、植木の剪定(せんてい)や建物の修繕といった自治会活動もままならなくなってきており、方針転換の背景にはそうした事情もあるとみられる。

 条例案では、同居できる「親族」に加え、里子や、自治体のパートナーシップ制度で宣誓した同性パートナーの同居も新たに可能とした。

 県によると、今年4月時点で41都道府県で宣誓したパートナーなどの入居が認められており、関東1都6県では千葉県を除く全ての都県で入居が可能となっていた。今回ようやく改正に踏み切るに至った経緯について、県の担当者は、他都県の対応や家族の形の多様化など、社会情勢の変化を踏まえたと説明する。

 ただ、パートナーシップ制度を導入していない自治体も多く、そうした自治体では入居条件を満たさないといった現状もある。県は「住宅を確保するのが困難な人をサポートする支援法人もあるため、そちらに相談してほしい」としている。

 性的少数者やその支援者らでつくる「レインボー千葉の会」顧問の松尾圭さんは、自治体ごとの対応のばらつきを問題点に挙げつつ、「県が性的指向によらないパートナーとの同居を認めたことで、民間が提供する住宅への影響もあるのでは」と期待を寄せる。

 県民からの意見は、メール(juutak24@mz.pref.chiba.lg.jp)、郵送(〒260・8667 千葉市中央区市場町1―1)、ファクス(043・227・7140)で受け付ける。いずれも「都市整備局住宅課県営住宅管理班」宛てで、5月16日必着。詳しくは、県のホームページへ。(田辺詩織)