米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長が辞任するというフェイクニュースが再び流れている。しかし今回は、人工知能(AI)が関与しているようだ。

thecryptoalert.comというウェブサイトに7月1日、「SECのゲンスラー委員長が内部調査に続いて辞任届を提出した」と匿名の関係者を引用して報じる記事が掲載された。

しかし、コインテレグラフがその記事のテキストをAI検出器ZeroGPTで評価したところ、96.8%という高いスコアが示され、大部分がAIによって生成されたテキストであることが示唆された。

また、thecryptoalert.comというウェブサイトは非常に新しく、合計で17の投稿しかない。初めての投稿は6月22日だ。これらの記事の大半もまた、ZeroGPTで70%のスコアを得るなど、AIが大量に使用されているようだ。

AIによるテキスト生成の他にも、インターネットアーカイブWayback Machineによる検索では、ウェブサイトのドメイン"thecryptoalert.com"の所有権が6月24日の16:30に更新されたことが明らかになった。

それにもかかわらず、Twitter上で多数のアカウントがこの情報を投稿した。なかでも最も閲覧数が多かったのは@whalechartというアカウントで、記事執筆時点で160万回の閲覧があった。

7月3日のツイートで、FOXビジネスネットワークのチャールズ・ガスパリーノ記者は、SECからの返答を得た上で、「ゲンスラー氏は辞任しない」と確認した。

ゲンスラー氏辞任の誤報はこれまでにも流れている。4月20日には、ゲンスラー氏が「解任される」準備をしているとの主張が疑わしい情報源から流れた。

6月12日には、米議会議員が"SEC Stabilization Act"という新しい法案を下院に提出した。その主要な条項の1つは、ゲンスラー氏を「専制的な委員長」と名指しで解任することを求めていた。