和歌山県紀南地方でカメムシが大量に発生し、特産の梅の実が吸われて変色したり、落果したりするなどの被害が出ている。

 県うめ研究所(みなべ町東本庄)によると、カメムシは梅の実に口針(こうしん)を刺して種を吸おうとし、実の表面にヤニを吹いたり、変色したりする。特に小梅は果肉が薄く、針が種まで届いて吸われると、落果につながるという。
 田辺市上秋津のある農家よると、特に白浜町日置にある自分の畑では、4月下旬にかなりの数のカメムシが飛んできて、小梅の実が吸われてかなり落ち、木に残っていた実も吸われた跡が付いた。南高梅でも一部で被害があるという。
 カメムシに吸われた実は選別して廃棄処分にするといい「不作の上にひょうが当たり、カメムシ被害も出て三重苦だ。収量は例年と比べてかなり少なくなる」と嘆く。
 同市下三栖のある農家も「薬剤散布をしたが、湧いてくるような感じで発生し、例年と比べるとかなり多い。今のところ小梅の被害はそれほど大きくないが、被害が拡大する前に収穫を早めたい」と話した。
 県農作物病害虫防除所は、カメムシを夜間に光で集めて捕まえる装置を果樹産地に設置し、数を調べている。うめ研究所に設置した装置では4月下旬が最も多く、5月は夜間の気温が下がった影響か、やや減ったがそれでも平年を上回っている。
 ツヤアオカメムシが多く、4月下旬の26〜30日で平年118・9匹に対し、今年は4486匹と約38倍。5月も11〜15日で平年444・6匹に対し、今年は1545匹と3倍以上となっている。
 今年、カメムシが大量に発生している要因には、越冬量が多かったことがある。日によって装置で捕まえる数にばらつきはあるが、夜の気温が飛来数に影響しているとみられる。カメムシはスギやヒノキの球果が好物で、球果が増えてくれば球果の方に集まっていくと予想されるという。
 うめ研究所は「今後も夜の気温が上がると、カメムシが活発化して園地に飛来する恐れがある」と注意を呼びかけている。