毎月の家計費はあまり変化がなくても、生活費以外に発生する臨時支出に慌てることありませんか?

シニア期になると、現役時代よりも収入が少なくなる傾向があるたるため「○○があったから仕方ない」という言い訳を続けていると、家計が赤字続きとなり、老後資金がどんどん目減りしてしまいます。

老後、お金がどんどんなくなる不安を抱えないためにも、正しく臨時支出を把握して、しっかりコントロールできるようにしましょう。

■「臨時支出」にはどんなものがあるの?
「臨時支出」には、年に1回発生するものもあれば、数年に1回程度しか発生しないものもあります。突発的に発生したように感じてしまいますが、あらかじめ決まっている支出といえます。そのため、いつ頃、どのくらいの支払いが発生するかを予測することができます。

実際の臨時支出にはどのようなものがあるのか確認してみましょう。

▼多くのシニア家庭で発生する臨時支出・自動車税や固定資産税
・年払いの保険料
・家電の買い替え費用
・旅行代
・冠婚葬祭費用
・家の修繕費
・車検代、タイヤ交換のための費用
・冬物衣類のクリーニング代
・子どもたちが帰省したときの諸費用
・ペットの健康診断費
・趣味の発表会代 など

これら臨時支出は、多くの場合、支出となる時期や必要となる金額は決まっているものばかりといえそうです。しかし、日ごろは家計費を気にしながら過ごしていれば、上記の臨時支出のことは忘れてしまいがちです。そんなときに、大きなお金が必要になれば焦ってしまい、「節約しているのに、家計が赤字になってしまった……」と大きなため息をつくことになってしまうのです。

■1年間の臨時支出の確認してみよう!
前述した通り、臨時費用といえば「急に必要になるお金」と捉えがちですが、ほとんどがあらかじめ決まっている支出です。事前に、臨時費用の予算を毎月の生活費とは別に把握しておきましょう。日々の家計の予算、別建ての臨時費用というように、それぞれを明確に区別しておけば「今月、赤字を出してしまった……」といって、ムダに落ち込むことなく安定的に家計を管理できるでしょう。

まずは、次の手順で今後1年間に発生する臨時支出を把握しましょう。

▼臨時支出の備え方●手順1:臨時支出をリストアップ
今後1年間に予想される支出を書き出してみましょう(金額目安は1万円以上)。その際、5月は自動車税、7月は旅行、8月は子どもたちの帰省など、月ごとの行事をイメージすると、思いつきやすくなります。昨年の支出額を参考にしながら、予想額を書き出しましょう。

●手順2:臨時支出の年間予想額を1カ月あたりで把握する
手順1で出した臨時支出の予想額を1カ月あたりに割り戻すといくらになるか計算します。たとえば、臨時支出の予想額が40万円だとすれば「40万円÷12カ月=およそ3万3000円」となります。

●手順3:家具・家電等の買い換えに必要なお金も上乗せもしておく
パソコン、スマホ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、自動車、カーテンなど定期的に買い替えが必要になるものがあります。それらについては1カ月あたり1万円ぐらいかかるとみなし、臨時支出に上乗せして確保しておくとよいでしょう。「ここしばらく買い替えしていない……」ということであれば、近いうちにまとまって買い替えが発生するかもしれません。その場合は、1カ月あたり2万円と設定しておいた方が安心でしょう。

手順2の「臨時支出の予想額」と「家具・家電等の予備費」を合計して、臨時支出として必要な1カ月あたりの金額を算出しましょう。

上記の例でいえば、「3万5000円+1万〜2万円=4万5000〜5万5000円」となります。

臨時支出の予想額を算出したら、生活費とは別の銀行口座にお金を移して管理しましょう。

■臨時支出の予想額が大きい……と感じたら
臨時支出の予想額を算出した結果、「予想外に多すぎる……」「この先、家計がもたないかも……」と感じることがあるかもしれません。

そのような場合は、リストアップした臨時支出の中をよく確認して、節約できそうなものを探しましょう。

たとえば「年に2回の旅行を1回に減らす」「自動車は70歳になったら免許返納して手放す」「子どもが帰省したときの諸費用は予算○○円に決める」など、予算を減らす方法を見つけましょう。

臨時支出の予想額を把握しておけば、今後、家計管理をする際、予想外の支出があっても慌てることはないでしょう。

文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)

3匹の保護猫と暮らすファイナンシャルプランナー。会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方、心豊かに暮らすための情報を発信しています。

舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)