注文住宅を建てようと検討中の場合、土地探しから始める方も多いのではないでしょうか。100%理想の土地に出会うのはなかなか難しく、土地選びは計画的に進めないといつまでも家を建てられないケースも少なくないでしょう。今回は、筆者が半年ほど土地探しを進めるなかで経験した「土地選びの失敗談」をご紹介します。

土地の相場を把握していなかった

家づくりを始める際に、候補となるエリアの土地価格や相場を早い段階で把握することはとても重要です。筆者は、土地の価格相場を詳しく調べていなかったため、土地探しに苦労しました。もともと希望していたエリアでは予算に見合う土地が見つからず、やむを得ず相場の安いエリアで探し直すことに。

土地探しは条件にぴったり合うところを見つけるのが難しく、想像以上に時間と労力を費やします。もし最初から土地の相場をしっかり調べていれば、もっと効率的に進められたかもしれません。

騒音や振動が気になる

土地選びの際に騒音や振動が気になる方は多いのではないでしょうか。筆者宅を建てた土地は線路沿いのため、電車による騒音は購入前にもっとも懸念していました。ただ、1時間に上下線で4本程度しか通過しないローカル線という点で許容範囲内だと判断し、購入を決意。

実際に生活してみると、新居に住み始めたのが冬だったこともあり、窓を閉め切っていれば電車の走行音はさほど気になりませんでした。気になったのは、走行音より振動。電車が通過すると、ダイニングテーブルがゴトゴトと揺れます。振動に関しては、住むまで予想をしていなかった点で、気づいたときは後悔しました。

筆者宅のように“電車による騒音や振動”の他にも、以下のような土地は注意すべきです。

  • 車の通りが多い道路沿い
  • 繁華街の近く
  • 人通りが多い街中

土地を購入する前に現地を見に行くのであれば、複数回足を運ぶようにしましょう。“平日朝の通勤通学時間”、“休日”、“夕方や夜”など、時間帯をずらして周辺環境をチェックしておきたいですね。

ちなみに筆者宅の騒音振動問題ですが、時間が経てば慣れていくもので、今は電車が来てもうるさいと感じなくなりました。鉄道好きな息子たちは、電車が家の前を通過するたびに窓からうれしそうに眺めています。

近隣にトラブルのもとがあると心配

注文住宅を建てるなら、長く暮らすことを想定している方が大多数かと思います。平穏な日常を送るためには、近隣とのトラブルは避けたいところですよね。

筆者の場合、購入した敷地が自治体の土地と隣接していて、草が伸び放題でも手がつけられません。新居に住んでからまだ夏を迎えていないのでわからないのですが、「虫が大量に発生したら」と心配してしまいます。ただ、土地購入前に近所の方が「たまに自治体の人が草刈りをしている」と教えてくれたので、困ったときは自治体に相談してみるつもりです。

  • 害虫の大量発生
  • ニオイの問題
  • 過度な生活音によるトラブル

上に挙げたような近隣トラブルのもとが事前にわかる場合、できる限りトラブルを予防する対策をするか、購入を見送ることも考えるとよいでしょう。

地盤改良工事の費用を見込んでいなかった

家を建てる際、地盤の強さは建築費用に大きく影響します。地盤調査をしてみて地盤が弱いと判断されると、地盤改良工事が必要になり、その分の費用が追加されるからです。

筆者の場合、ハウスメーカーによる地盤調査の結果、地盤改良工事が必要になりました。33坪ほどの平屋を建てるためにかかった工事費用は約100万円。安心して暮らすための必要経費とはいえ、予想外の出費はなかなかの痛手でした。

地盤が弱い土地には、3つの問題点があります。

1.地震による液状化現象の可能性

地震が起きた際、地盤が液状化することで建物が損傷を受けるリスクが高まります。

2.建物の沈下や傾き

建物を建てる範囲内に硬い地盤と柔らかい地盤が混在していると、柔らかい地盤部分だけが沈み、建物が傾く可能性があります。

3.揺れの増幅

弱い地盤は地震の揺れを増幅させることがあり、建物に与えるダメージが大きくなります。

これらの問題を回避するためにも、購入前に地盤の情報を可能な限り集めることは大切です。ただ、正確な地盤の強さはやはり地盤調査を行わないとわかりません。事前に地盤改良工事の費用を見込んでおけば、予算オーバーを防ぎ、安心して家づくりを進めることができるでしょう。

土地選びは計画的に!

家づくりは決めることややることが非常に多く、土地から探す場合は特に、計画的に動かないと疲弊してしまいます。

金銭面で大切なのは、土地の相場を早めに把握することです。また、土地選びで後悔しないためには、条件がよさそうな土地を見つけたら、可能な限り情報を集めましょう。自分だけでは難しそうであれば、不動産業者や建築業者に頼るのも手ですよ。理想の家づくりのために、後悔のない土地選びの参考になればうれしいです。

文・木村孝子

整理収納アドバイザー・住宅収納スペシャリスト・ライター。元汚部屋の住人。大量のものを手放したのちに手に入れた感動から、整理収納を本格的に学ぶことに。ズボラでも無理なく片付く仕組みづくりを伝えるべく、活動中です。

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文/木村孝子