欧州連合(EU)への加盟を目指すバルカン半島の北マケドニアで8日、議会総選挙(一院制、定数120)の投開票があり、保守系野党のVMRO―DPMNEが親EU与党の社会民主同盟に圧勝し、第一党となった。VMRO―DPMNEもEU加盟を掲げるが、加盟をめぐって対立してきた隣国ギリシャやブルガリアに対して厳しい姿勢を示しており、今後の加盟プロセスに影響を与える可能性もある。

 総選挙とあわせて投開票された大統領選でも、同党が支持するゴルダナ・シルヤノフスカ・ダフコワ氏(70)が現職のステボ・ペンダロフスキ氏(61)を破って初当選を果たした。同国で女性が大統領に就任するのは初めて。大統領の役割は儀礼的な職務にとどまる。

 2005年にEUの加盟候補国となった北マケドニアは、旧国名の「マケドニア」が自国の地域名だとするギリシャの反発を受け、19年に現在の国名に変更した。これによって20年に北大西洋条約機構(NATO)の加盟を果たし、22年に隣国のアルバニアとともにEUとの加盟交渉を開始していた。

 だが、今度はブルガリアが、交渉の条件として北マケドニアに住むブルガリア系住民を少数民族として認めるための憲法改正を行うよう要求。社会民主同盟は応じる姿勢を示していたが、VMRO―DPMNEは反対している。(イスタンブール=根本晃)