いよぎん地域経済研究センター(IRC)が高校生を対象にした調査で、愛媛県内に定住したり戻ってきたりしたいと考える生徒の割合は5割を超えることが分かった。

 調査は昨年12月、県内の高校2年生ら7633人に行い、約64%から有効な回答を得た。4月下旬に結果を発表した。

 県内に「ずっと住み続けたい」「一度県外へ出ても、愛媛に戻って住みたい」を合わせた割合は約54%だった。愛媛への愛着について尋ねたところ、愛着が強いほど定住や回帰の志向が強くなる傾向があった。

 ただ、将来、働きたい会社が県内にあるか尋ねたところ、「分からない・知らない」が約49%と最も多かった。

 IRCはアンケートとは別に、高校生38人にヒアリングも行った。将来のキャリアのビジョンを明確に持っている生徒18人のうち10人は県外志向だった一方、8人は県内志向だった。なかでも「一度県外へ出ても、いつかは戻って住みたい地元があるからこそ、安心して県外でいろいろな経験をしてみたいと思える」との回答があった。

 IRCは「地元の存在が安心材料となり、進学や就職での思い切った挑戦を可能にしている」と分析している。

 ヒアリングでは、愛媛での仕事や生活のイメージが明確でない生徒ほど、県外に出ようとする傾向もあった。

 IRCは要因の一つに地元企業の認知度の低さがあると指摘。「県外に一度出てしまえば、愛媛の会社を知る機会はほとんどなくなる。地域と若者が接点を持ち続け、愛媛に戻るきっかけをつくる必要がある」と提言している。

 愛媛県の人口は1985年の約153万人をピークに減少に転じ、2023年には130万人を割り込んだ。国立社会保障・人口問題研究所によると、50年には約94万人まで減少するとみられている。

 23年には3398人の若者(15〜24歳)が県外に流出した。県外に出た人の約8割を占める。ここ数年をみても、この年代では3千人超が県外に出ており、進学や就職を機に県外に出たまま戻ってこない現状が垣間見える。

 この年代の転出先をみると、東京都が最も多く、大阪府、兵庫県と続く。IRCは「四国自体から出ようとする若者が多い」とみている。(神谷毅)