兵庫県市川町の中山間地で、ニンニク栽培が盛んだ。適地というわけではないが、地名に「にんにく」が入っているため、ダジャレにこだわって2017年からボランティアが休耕田を使い取り組んでいる。今年も7月に直売会を予定している。

 同町下牛尾を通る県道から東へ入った、緩やかな傾斜地に下岡・忍辱(にんにく)地区がある。地元住民によると、地区内には約80戸があり、点在している田畑は高齢化に伴い休耕田が多くなった。そこで有志によって「下岡にんにく村」という団体が作られ、50〜80代の10人ほどのメンバーが、少しずつ手作業で栽培面積を増やしていった。

 現在は約40アールに1万5千本のニンニクを植えて世話している。今春から「村長」を務める森口勉さん(67)は、「メンバーはみんな別の仕事をしており、その合間を縫って集まっている」という。「ニンニクはもっと日当たりのよい場所で栽培した方がいいけれど、ダジャレにかけている」と笑う。

 今月8日には、近くの町立瀬加小学校3年の児童9人が総合的な学習の一環として畑を訪れた。ニンニクの芽を摘んで、栄養を球に回すための作業を手伝った。児童たちは長さ50〜70センチの芽を引き抜いては、「きれいに採れた」とはしゃいだ。芽はメンバーの手によってベーコンと一緒に炒められ、みんなで試食。「甘くてやわらかい」と好評だった。

 6月初旬には球の収穫があり、7月中旬には畑の近くで直売会が開かれる予定だ。(雨宮徹)