2023年7月に打ち上げられたユークリッド宇宙望遠鏡。そのユークリッド望遠鏡の早期リリース観測の一環で撮影された画像が公開されました。上の画像は公開された5点のうちの1点で、渦巻銀河NGC 6744が映っています。NGC 6744は、くじゃく座の方向、3000万光年の距離にあります。

画像には銀河が鮮明にとらえられています。ユークリッド望遠鏡の観測により、個々の星々の数だけでなく、銀河内の星や塵の分布の調査、そして新たな星形成の燃料となるガスに関連する塵のマッピングも可能になります。それらの調査は、銀河の進化、そしてなぜ私たちの宇宙が今日のような姿をしているのかを理解する上で重要です。

またユークリッド望遠鏡のデータから、NGC 6744の球状星団を特定したり、周囲にある新たな矮小銀河を探索することも可能になります。ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によば、すでに実際に伴銀河(衛星銀河)である矮小銀河が発見されているとのことです。

6年間で全天の3分の1の領域を観測する

ユークリッド望遠鏡は、太陽・地球系の第2ラグランジュ点(L2)を周回する軌道から観測を行っています。L2は、地球からみて太陽の反対側、約150万km離れたところにあります。全天の3分の1の領域について、100億光年先までの銀河の形状や位置、距離などを測定し、宇宙の3Dマップを作成することが目的です。それにより、ダークエネルギー(暗黒エネルギー)やダークマターの解明などを目指しています。

(参考記事)ユークリッド宇宙望遠鏡 銀河の精密な3Dマップを作り宇宙の「暗黒」の解明を目指す

2024年5月23日に公開された今回の5点の画像は、同日公開されたミッションの最初の科学データおよび、今後発表される10件の科学論文に伴うものです。データはわずか24時間の観測から得られたもので、可視光で1100万以上、赤外線でさらに500万以上の天体が明らかにされています。ユークリッド望遠鏡のメインミッションは6年間が予定されており、今後の成果が大いに期待されます。

(参考記事)
ユークリッド宇宙望遠鏡がとらえた星形成領域M78
ユークリッド宇宙望遠鏡がとらえた銀河団Abell 2390

Image Credit: ESA/Euclid/Euclid Consortium/NASA, image processing by J.-C. Cuillandre (CEA Paris-Saclay), G. Anselmi

(参照)ESA(1)、(2)