アイティフォーは4月30日、今年3月でブロックチェーンを活用した電子終活ノートの検証作業を終了したと発表した。この検証作業は、熊本県の公募型企画コンペで採択された「Digital Safe(デジタル金庫)」の提案に基づいたもの。検証の結果、終活ノートという堅牢性・真正性が求められるサービスに対してブロックチェーンが有効であることや、紙の終活ノートに比べアプリでは情報の保管や共有を容易かつ安全に行うことが可能であることを実証できた。また、電子終活ノートへの記録を通して、終活に対する意識が高まる結果となった。
 検証作業では、参加者のスマートフォンに「電子終活ノート」アプリをインストールし、逝去時などの模擬シナリオに沿って動作させた。一連の動作によって、終活ノートのペーパーレス化、記録された情報の確実な伝達、ブロックチェーン技術による記録された情報の改ざん検知などについて検証。また、検証には128人が参加者し、「電子終活ノート」アプリを実際に使用しながら各プロセスでアンケートに回答した。
 ブロックチェーン技術の検証では、記録した電子終活ノートのデータに対し、ハッシュ関数を用いて「検証情報」を作成し、ブロックチェーン上に記録した。検証情報はブロックチェーン上に記録されることで、耐改ざん性と透明性を有する。電子終活ノートのデータに対する改ざん検知が可能となったことで、堅牢性の向上と真正性の担保をアプリ上で実現する結果となった。
 アンケート調査の分析結果は、電子終活ノートアプリの操作方法とデータの入力に関して「簡単、まあまあ簡単」と答えた参加者が77.4%と大半を占め、デジタル化をすることで終活ノートの作成が簡略化されたといえる。
 「スマートフォン上で終活ノートを作成することに利便性を感じる」と答えた人は64.2%だった。回答理由としては、デジタルデータ(動画、写真、音声など)を保存し伝えられるという点、紙に比べてデータの修正が容易な点などが挙げられた。しかし、スマートフォンでの入力がしづらいという意見も一定数見られた。
 「実証事業を通じて、資産や相続に対する関心が高まったか」の問いに対しては、「高まった」と回答した人は74.5%と、電子終活ノートアプリを通じて多くの人が終活に対する意識を高めるきっかけとなったと考えられる。