声を失った女性が、生成AIによって声を取り戻したとして、注目を集めている。[AP通信](https://apnews.com/article/ai-recreating-lost-voice-illness-a6512c33481072c22182c116d2cbe419)などが報じた。

米ロードアイランド州在住のアレクシス・ボーガンさん(21)は昨年8月、脳の腫瘍を摘出。手術には成功したが、手術の影響で音声障がいを発症した。

高校時代は、合唱部に所属し、ソプラノを担当していたアレクシスさん。声を失った直後は、「自分のアイデンティティの一部が奪われたようだった」という。

しかし、生成AIが失意のアレクシスさんを救う。

今年4月、生成AI「ChatGPT」などを提供する OpenAI 社が、音声生成モデル「Voice Engene」を開発。

人の声を再現できる同モデルは、15秒ほどの音声サンプルを読み込ませれば、元の話者によく似た、自然な音声を生成する。

アレクシスさんは、高校生の時に撮影した自身の料理動画から音声を読み込み、学生時代の声を再現することに成功した。

ブラウン大学医学部とロードアイランド病院・神経外科の研修医、ロヘイド・アリ医師は、今回のアレクシスさんの事例は、生成AIの有効的な活用方法になると期待する。

「生成AIのリスクを認識しなければいけませんが、(音声機能障がいを持つ)患者の社会的利益についても目を向けなければいけません」

「私たちは、アレクシスの本来の声を取り戻す手助けをできました。彼女はこれから、彼女に忠実な声で話すことができるんです」

手術後、自分の声を忘れかけてしまいそうになったというアレクシスさん。今では、生成AIを活用して、ドライブスルーも利用しているという。

米スターバックスで注文するアレクシスさん

「あの声を再び取り戻せたこと、すごいことだと思います。声が出せなくなる前と比べれば、多少の自信をつけることができました」

「私の声は完全に戻ったわけではないけれど、本来の声を取り戻す、助けになるものを見つけられました」