WGP 第5戦 フランスGP ロードレース世界選手権 決勝 12日

ブガッティサーキット(ルマン) ペン&カメラ=遠藤智

 モト2クラスを戦うMSIの小椋藍(23)が、17番グリッドから怒濤(どとう)の追い上げで2位フィニッシュ。チーム移籍後初(今季初)の表彰台に立った。ランキングも5位から3位と同点の4位に浮上。チャンピオン争いへ復活ののろしを上げた。モトGPは、プラマックのホルヘ・マルティン(26)=スペイン=が今季2勝目で、ランク首位を堅持。グレッシーニのマルク・マルケス(31)=同=が、13番グリッドから2戦連続の2位表彰台を獲得した。

 いつもは冷静な小椋が珍しく興奮気味だ。レース後のインタビューに応え、「土曜がタフな結果に終わっていたので、決勝でまさか表彰台に立てるなんて。本当にうれしい」。移籍後ようやくつかんだ初表彰台に、晴れやかな笑顔を見せた。

 予選ではマシントラブルのため2回目のアタックができず、今大会も下位の17番手に沈んだ。自分のミスもあって3戦連続の予選17番手。開幕以来、4戦連続のシングルフィニッシュと決勝では何とか挽回してきたが、最高は4位(開幕戦)どまり。下位スタートがたたって、表彰台の壁は破れなかった。

 だが、今回は内に秘めたる覚悟があった。前戦スペインGP後のテストで転倒し、車体が大破。1000万円を超える損害をチームに与えてしまった。結局、チームには完全な新車を用意させることになり、何としても好成績で償いたいとの思いを抱えていた。

 17番グリッドから好スタートを切ると1周目には11番手に浮上。さらに13周目には5番手に。そして4番手で迎えた最終周で一気に2番手に上がると、今季2勝目を挙げた同僚セルジオ・ガルシアに続いてゴール。チームはみごとワンツーフィニッシュとなり、スタンドを埋めた観客に向け、ガルシアとともに歓喜のウイリーを披露した。

 2022年には王者争いを展開し、ランキング2位。実力が広く認められながら、昨年はシーズン開幕前に負ったけがのためランク9位と低迷。これを契機に、今季は長年所属したホンダ陣営からMSIに移籍した。だが、ボスコスクーロの車体とピレリタイヤという慣れない環境で、格闘が続いていた。

 今回「苦手ではないが得意でもない」ルマンでの自身初表彰台で、ようやくこれまでのうっぷんを晴らした格好。ここから新たなスタートだ。