◇23日 社会人野球都市対抗・近畿地区第二次予選・第1代表決定トーナメント準々決勝 日本生命2―0三菱重工West(わかさスタジアム京都)

 今秋のドラフト候補に挙がる日本生命(大阪市)の石伊雄太捕手(23・近畿大工学部)は”完封リード”で準決勝進出に貢献した。山本隆広投手(27・関西大)とバッテリーを組み、三菱重工West(神戸市・高砂市)を8安打の無失点に封じた。

 「相手の打者を研究しながら、山本さんとも会話をしながら、この打者をどう攻めていこうと、その通りに攻めることができました。走者を背負うことはあったんですが、要所、要所で抑えることができました」

 そう話す石伊についてネット裏で視察していたあるスカウトは「去年よりスローイングが安定してきた」と評す。二塁送球タイムが1・9秒を切るなど強肩が持ち味だ。近畿大学工業高専では甲子園出場はなく、近畿大学工学部では全国経験がある。

 打者として、この日は8番で3打数無安打だったが、OBC高島(高島市)との初戦では2安打5打点と打撃でも貢献している。成長の裏には、元中日などの外野手で日米通算2450安打の福留孝介コーチ(47)の存在がある。同コーチはこの試合にベンチ入りして、ベンチで選手に助言を送っていた。

 石伊は「シンプルなことをたくさん教えていただいています。もぐりすぎないとか、タイミングの取り方で泳いでもいいから振り遅れるな、引き付けすぎずに前で前で、とか。まだまだ探り探りなんですが、福留さんの話を聞いて、打撃は難しく考えるんでなく、簡単に考えるようにしています」と話す。

 梶田茂生監督(55・筑波大)は「投手とコミュニケーションを取ってこう攻めていこうと決めて勝負にいっている。迷いなく勝負できている。彼はまだまだ伸びしろがある。福留コーチたちと相談してタイミングの取り方を工夫して、打撃も良くなっている。きょうは打撃のほうに神経がいってなかっただけ」と語った。福留コーチの教えで、構えた際のスタンスを少し広げたことで「体のブレ、目のブレがなくなり、球を捉える感覚が良くなった」と成長を認める。

 第1代表決定トーナメント準決勝(24日)の相手はミキハウス。「目指しているところは日本一。一戦一戦、確実に勝っていきたい」と石伊は意気込んだ。