東京ドームで5月6日に行われた、世界4団体統一スーパーバンタム級王者・井上尚弥(31)=大橋=の防衛戦をメインとした4大世界戦を主催した大橋ジムの大橋秀行会長(59)が、日本ボクシング界34年ぶりとなった東京ドーム開催を振り返り、今後もコンスタントに開催していきたいと話した。将来的には、旧築地市場跡地に建設される屋内型マルチスタジアム(2032年完成予定)でのボクシング開催を掲げた。

 5・6は、4万3000人がドームを埋め、独占生配信したアマゾンのプライムビデオでの視聴者数も2023年の野球WBC決勝を抜き過去最多を記録した。大橋会長は「私も街を歩いていると何度も握手を求められる。尚弥なんてもっとすごいだろうね」と、反響の大きさを実感した。

 東京ドームでのボクシングは、帝拳ジムが手がけた1990年の統一世界ヘビー級タイトル戦タイソン―ダグラス(ともに米国)以来。大橋会長はその試合を現役世界王者として観戦し、いつか自分もと夢を抱いた。「東京ドームを実現できたのは(恩師)ヨネクラジム米倉健司会長と(現在も協力関係の)帝拳ジム本田明彦会長との出会いがあったからこそです」と感慨深く話した。

 だが、ここからがスタートだという。「今の注目度をボクシング全体にどう波及させるか。そのためにも、東京ドームを数年に一度みたいに恒例化できればボクシング界にとって大きなプラスになる」と力を込めた。

 大会場に必要なのは好カード。そのためにも、他ジムの有望選手も大橋ジムと連携するドコモの配信サービスLeminoの生配信に積極的に起用。ボクシング全体の人気アップを図っている。

 さらなる舞台も頭にある。「築地にできる新しいドームだね。初興行でボクシングができたら最高」と、ニヤリと笑った。「こういう目標は言っていかないと。そのころ主役になっているのは、今キッズボクシングをしているような子供たち。そこも力を入れていきたい」。ドームを終えた大橋会長の目はさらに未来にも向けられていた。