ドライバーショットの後のティーはどこに飛ぶのが正しいのでしょうか。毎回違う方向に飛んでしまうのは、ショットが安定していないからなのでしょうか?

ティーがどこに飛ぶのかを気にするのは間違っている

 ゴルファーの間では、ドライバーショットでティーが飛ばずに、刺さったまま同じ位置に残っていることを「ティー残し」と呼んだり、「後ろに飛ぶとナイスショットの証拠」といわれたりすることがあります。

意識し始めると気になる…ティーの飛ぶ方向 写真:GettyImages
意識し始めると気になる…ティーの飛ぶ方向 写真:GettyImages

 しかし、プレーをしているとティーが前方や左右に飛ぶこともあれば、そもそもどこに飛んだか分からず紛失してしまうことも珍しくありません。では、ティーはどこに飛ぶのが正しいのでしょうか。

 現役のシニアツアープロでゴルフスクールも経営する梶川武志プロは、「ティー残し」や「後ろに飛ぶとナイスショット」という意見は昔の話だと指摘します。

「昔のドライバーのヘッドは今のクラブに比べてかなり小ぶりで、ヘッドの容量は200cc以下、ヘッド厚も4.5〜5センチ位でした。昨今は大型ヘッドが主流になっていて、容量は最大で460cc、ヘッド厚は5.4〜6センチ位になってきています」

「ゴルフボールの大きさは約4.3センチなので、昔のドライバーを使って芯を捉えるとフェースがティーに当たる部分は数ミリでした。するとティーはそのまま残るか、ティーの上部に少し当たった反動で後ろに飛びやすくなっていたのだと思います」

「ところが現在のドライバーを使うとフェースの下の部分の1センチ弱がティーに当たります。ティーにフェースが当たる部分が増えるので、そのまま残ることはありませんし、飛ぶ方向も後ろとはいえなくなっています」

「現在のドライバーを使ってナイスショットをしたときは、僕の肌感ですが軽く真上に飛ぶことが多いように感じます。なぜ真上に上がるのか物理的には説明できませんが 、自身の経験や周囲のプロゴルファーがナイスショットをしたところを見ていても、真上に上がっている印象があります。ただ現代のドライバーにおいて、ティーがどこに飛べばナイスショットになりやすいと断言することはできません」

ティーが飛ぶ方向はショットの良し悪しとは無関係

 アマチュアは、毎回ティーがあちこち違う方向に飛んで見失うことも多々あります。しかし梶川プロは、こちらに関しても「必ずしも悪いショットになっているからとはいえない」と語ります。

「テンプラなどを打った場合はティーに多く当たってしまうので、大きく前の方に飛んでいってしまい、ティーをなくすこともあるでしょう。しかし、ティーはティーイングエリアの芝の向きによっても飛ぶ方向が違ってきて、ナイスショットをしても左右に飛ぶことがあります。さらにティーを差し込む深さによっても飛び方は変わってきます」

「ドライバーのソールの形によっても、ティーが飛ぶ方向が違う場合があります。最近のドライバーのソールは平らではなく、性能を上げるために凹凸があるものもあります。このようなドライバーの場合はどこにティーが飛んでいくかわかりません。実際に私も、あるドライバーを使った時にティーがあちこちに飛ぶので、ソールに凹凸のないものと比較して動画を撮ったことがあるのですが、明らかにティーの飛び方が違っていました」

「ツアープロでもティーを見失うことはよくあります。インサイドアウトにしてドローボールを打っても、ティーが右斜め前に飛んでいるかというと、そうとも限らないからです。クラブの特徴が変わってきているので、昔のようにティーの飛ぶ方向でナイスショットかどうかを判断することはできません。また、ティーもさまざまなタイプのものがあるので、一概にティーの飛ぶ方向だけでショットを判断することもできなくなっています」

 アマチュアはティーの飛ぶ方向でナイスショットかどうかの判断はしないほうがよさそうです。それよりも、フェースの芯に当たったかどうかの感覚を身につけて、その感覚でナイスショットかどうかの判断をしたほうがいいでしょう。

ピーコックブルー