2024年、手に入れたい時計はどれか? 時計好きを自認するエンジン時計委員が今年まず注目し、手に入れたいと思っている魅力のある新作時計たちを紹介する。


エンジン時計委員 菅原茂のイチオシ「ゼニス クロノマスター オリジナルトリプルカレンダー」

1/10秒の計測と表示が可能なクロノグラフ機能にコンプリートカレンダー(曜日、日付、月)とムーンフェイズ表示を組み合わせた「エル・プリメロ」最初期のモデルを現代的に再現。コンパクトな38mmケースは、1969年に発表された「A386」の設計図とプロポーションに基づくデザイン。ダイアルにも当時のスタイルを伝えるヴィンテージ感が横溢する。搭載する自動巻きムーブメントは新型だ。ステンレススティール、5気圧防水。176万円。

オリーブグリーンのカラー文字盤(ブティック限定)を採用するブレスレット仕様モデルは、よりモダンでスポーティな印象が際立つ。183万7000円。

55年かけてたどり着いたのは1969年の原点

クロノグラフとフルカレンダーを併せ持つエル・プリメロを初めて見たのは、某商社が輸入していた頃だからずいぶんと昔。当時のゼニスでは最も複雑なモデルで、クラシカルな格調高いデザインやドレスウォッチのテイストが強調され、自分にはいまひとつ近づき難い存在だった。長い年月を経て、そんな距離感を一気に解消したのがオリジナルに忠実な今回の復刻だ。初代エル・プリメロがトリプルカレンダーとムーンフェイズの搭載を前提にしていた、という話も興味をそそる。目を引くのは小径と独特のヴィンテージ感。余計な演出抜きでオリジナルの魅力を伝えるところが実に喜ばしい。小さい窓のカレンダー表示は老眼で見づらいが、そんなことはこの際どうでもよい。やっぱり大事なのは見栄えでしょう! 時計としての性能は申し分ないので、あくまでも外観重視です。すでにエル・プリメロを所有する愛好者のひとりとして、次はこれもコレクションに加えたいと思った。(菅原茂)

文=ENGINE編集部

(ENGINE2024年6月号)