●FW:サメド・イェシル(ドイツ出身)

 先日、欧州で活躍するサッカーU-23日本代表の鈴木唯人にリバプールが熱視線を送っているとの報道が出た。それだけでも日本人にとっては誇りだが、もちろん移籍が実現したとしても生き残る難易度はかなり高い。実際、これまでにも若くしてリバプールに渡り伸び悩んだ才能たちはいた。今回は、リバプールに青田買いされ潰れた逸材を紹介する。

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生年月日:1994年5月25日
在籍期間:2012年〜2016年
リバプール通算リーグ戦成績:出場なし

 ドイツの未来、そしてリバプールの将来を担うと目されていたサメド・イェシルの未来は、わずか19歳で閉ざされてしまった。

 レバークーゼンのユースに所属していた頃のイェシルは、まさに怪物だった。リーグ戦で71試合57得点、U-17ワールドカップで6得点という圧倒的な成績を残し、あまりの決定力の高さからドイツの伝説的プレーヤーであるゲルト・ミュラーと比較されるほどだった。

 これほどの逸材をビッグクラブが見逃すはずがない。リバプールは獲得レースに名乗りを挙げ、2012年にイェシルを獲得。当時在籍していたルイス・スアレスの後釜としてこれ以上ない適任だったといえるだろう。

 しかし、ドイツ期待のストライカーに悲劇が襲う。2013年、U-19ドイツ代表の試合中に右前十字靭帯を断裂する大けがを負ってしまったのだ。リハビリを経て復帰した2014年にまたも同じ箇所にけがを負い、1年半以上プレーすら満足にできない状況が続いた。リバプール側も痺れを切らしたのか、2015年にスイスのFCルツェルンへレンタルで放出。2016年の契約満了と共に、イングランドの名門クラブから退団となった。その後はギリシャリーグのパニオニオスやトルコリーグのアンカラ・デミルスポルを渡り歩いたが、目立った成績を残すことは出来ないまま、2020年に母国のリーグに戻ってきた。

 今年30歳を迎える同選手は、現在ドイツのアマチュアリーグであるクライスリーガのCSVマラソンに所属している。サッカーだけでは生活できないため、工場で勤務しながらサッカーを続けているようだ。怪我さえなければ、世界を代表するストライカーになっていたかもしれないと思うと、2度の大けがが残念でならない。

鈴木唯人は大丈夫? リバプールに青田買いされ潰れた逸材 全選手紹介
鈴木唯人は大丈夫? リバプールに青田買いされ潰れた逸材(1)
鈴木唯人は大丈夫? リバプールに青田買いされ潰れた逸材(2)