南極の美しい空

南極は厳しい環境ですが、それゆえに見られる美しい景色もたくさんあります。私がいちばん好きなのは、夜中の1時から2時ころの空。

観測船「しらせ」から昭和基地まで雪上車で物資を輸送するのは、安全のためにも海氷が締まる夜間に行われます。夜中に作業するチームを待って起きていると太陽が沈み始め、またすぐ昇るんですね。

そのときの空が、ピンクから紫の、なんともいえない美しいグラデーションになる。オレンジ色の夕焼けや朝焼けとまったく異なり、南極で、その時間帯に起きている人だけが見られる空なんです。

長い滞在なので、基地では6月の極夜に行われるミッドウインター祭やクリスマスやお正月、バレンタインデーといった季節行事も行われます。隊員同士でバンドを組んだり筋トレのチームを作るなどサークル活動も盛ん。

観測隊の公式サイトや隊員個人のSNSに、そんな日常の風景やペンギンやアザラシの姿、観測の様子もアップされると思いますから、覗いてみてください。私も、趣味の書道くらいはするかもしれません。基地内は床暖房付きで暖かく、墨汁も凍らないですし。(笑)

そうした安全で快適な基地を維持し、砕氷艦といった特別な観測船を持てるだけの技術力、資金力のある国は、世界の3分の1にとどまります。幸いにも日本はそれが可能な国。だから目先のことにとらわれず、地球環境を守るという世界共通の課題に貢献していきたいですね。