元巨人のパーラ氏はナショナルズで一塁コーチを務める

 リズミカルな音楽は巨人ファンを虜にした。2020年に巨人でプレーしたヘラルド・パーラ氏は現在、かつてワールドシリーズを制覇した古巣ナショナルズで一塁コーチを務めている。日本には1年の在籍も「最高の国の1つだと思います」。忘れられぬ思い出がたくさんある。

 4月23日(同24日)からのドジャース3連戦。ベンチから大谷翔平投手の打席を見た。「世界で最高の選手だと思います。選手としても、人間としても……メンタル、性格面を含めてね」。時期は違えど、自身も日本でプレー。少し誇らしそうな表情を見せた。

 2004年にダイヤモンドバックスと契約を結びプロ入り。2019年途中にはナショナルズに移籍し、世界一に貢献した。2020年に巨人入り。怪我にも苦しみ47試合の出場で4本塁打、13打点。打率.267で1年で退団したが、「向こう(日本)の野球は最高でした」。決して嫌な思い出ではない。

 巨人在籍時は六本木に住んでいたという。「六本木も素晴らしかったよ。あとはお寺、球場もだね」。大好きだったのは寿司とラーメン。お寺の名前を思い出そうと考えこんでいたが、「浅草寺?」と記者が問うと「センソウジ!」と嬉しそうだった。

愛娘大好きだったシャークダンスが巨人でもブームに「感謝しています」

 ナショナルズ時代の2019年、チームがスランプに陥っていた時、登場曲を娘の大好きだった「Baby Shark」に変更。そこから一気に調子を上げ、観客もリズムに合わせて手を上下に叩く、“シャークダンス”が代名詞になった。来日後も日本ファンも同様の応援を行い、独自の“サメグッズ”を持って来るファンもいた。

 そんな東京ドームの光景はパーラ氏にとっても忘れられない。「彼らは私に無償の愛を注いでくれました。彼らはベイビーシャークを気に入ってくれたので感謝しています」。さらには、チームメートとも良好な関係を築いた。坂本勇人内野手、岡本和真内野手ら今でも連絡を取るメンバーも。「(岡本は)去年のWBCで挨拶しに行きましたよ」と懐かしそうに振り返る。

 もう一度、戻りたい――。それがひそかなパーラ氏の願い。「治安が良くて、奇麗で、安全な国。子どもにとって、成長させるにはいい国でした」。娘たちも気に入っていた日本。「(コーチとして)戻れたらいいですね」。“オファー”を心待ちにしている。(川村虎大 / Kodai Kawamura)