さて今週も「Game*Spark短歌」のお時間がやってまいりました。なんで「勝ちまくり!モテまくり!」とタイトルに入れたのか歌人に問い詰めてみたところ、「深い意味はない。今は反省している。自分に短歌を詠んでモテはじめたという事実はない。俺は常にモテている」とのこと。


「Game*Spark短歌」は毎週日曜日に“おしとやかな本格派教養コンテンツ”としてゲーミングなトピックを短歌にしてお届け。道行く人に道を聞かれるゲーミング歌人が、道行く人に殴りてぇと思われる相方のスパ公と共にゲーム業界のすべてがわかる短歌を目指していきます。君も短歌を詠めば勝ちまくり! モテまくり!

さて今回は徐々に夏の気配が近づき色めき始めたゲーミング歌人が、己のモテファッション「眼帯とパイプ」を披露しているところにお声がけ。眼帯というド滑りネタを好む歌人に誰もツッコミません。気まずい空気が編集部に流れ始めたところで、歌人がおもむろに一首。

新しき 世を心待ち 噂たつ
巷談ひとつの 遊戯たりえて


今週ゲーマーを騒がせたトピックといえば、やはりニンテンドースイッチ後継機へついに任天堂公式が言及したことでしょう! これは外せません。「そろそろ来るのでは」と、噂やガセとも思えるリークが続々と登場している中での公式発表に期待が膨らみます。

歌人曰く、「今回の歌は“人々の噂”が生み出す“パッション”に“フィーチャー”した」とのことで、スイッチ後継機だけでなく「ROG Ally X」の事前情報が公開されて話題を呼んでいることや、『GTA6』にまつわる噂も意識しているそうです。



思えば、ゲーマーをやっていて常に話題に上がるのは「次にどんなゲームやハードが登場するのだろう」という未来への期待です。これは古今のゲーマーにとってある種変わらないことかもしれません。新作ゲームを遊び終わってすぐに「シリーズ続編はどうなるだろう」と想いを馳せ、新作ハードに慣れてきたら「次はどういう進化を遂げるのだろう」と感じ始めます。もはやこういった「噂」というのも、広義で「ゲームの楽しみ」と言えるのではないでしょうか。

その中には不安や嘘も含まれていたりしますが、根源にあるのはゲーム業界への期待感。「明日はどんな面白いモノがやって来るのだろう」と期待させてくれるゲームの世界は、良いものです。


そして「別々に詠めばよかったのに……3つのトピックをひとつの短歌に纏めちゃったっ……!」と原稿の前で汚いちいかわのごとく嘆いている歌人にもう一首詠んでもらいます。

十億円 手に入れがたき 試作機よ
嘘か誠か 愛か投資か

こちらは「スーパーファミコン試作機」がYahoo!オークションで出品され、10億円の高値にまで達した結果、(理由は判明していませんが)出品が取りやめになったトピックを詠んだもの。

ただし注意しなければならないのは、10億円の入札はさすがに悪戯である可能性が高いということ、「信憑性が高い」が、本物と断言されたわけではないことです。さらには「試作機」であるため、「そもそもオークションに出していいのか?」というのも疑問です。入札金額も驚く価値ながら、そういう事情でも「手に入れがたき逸品」であるでしょう。


しかし以前には「任天堂版PlayStation」が36万ドルで落札された例もあり、ゲーム機に芸術品や骨董品のような高い価値を見出すことも有り得ます。それにしても10億円は高騰しすぎと思いますが……。

さて、一部の芸術品が高騰する理由のひとつは投資にあります。わかりやすく言えばたとえば音楽や詩歌といった物も芸術であるが、“物”が存在せず多くの人が同質のものを聴けるため、どれだけ芸術品としての価値があっても「現物」がないと高くはなりません。

この流れは「芸術を鑑賞品ではなく投資対象として見られている」ことから否定的に捉えらがちですが、歌人は業界に良い影響も与えるとも考えている派なようです。なぜなら“取引価格が高くなればなるほど長期保存されることが(ほぼ)確定しているため”ですね。むかしの絵画が今でも保存状態が良好なのは、これによるところが大きいでしょう。

もちろんレトロゲームの高騰などは「ゲームは遊ぶもの」という点から別軸で問題点を考える必要もありますが、ゲームに保存価値が見出されているというのは長期的に見て良いことなのではないでしょうか。歌人にこの一首を詠んだ意図を聞いたらば「10億あったらもう一生生きていけるやん……」とのこと。君も「なゐすぱ」で勝ちまくり!モテまくり!


Game*Spark編集部がスパ隠れの里から連れてきたゲーミング歌人が、この一週間で話題になったトピックで一首詠む“短歌企画”は連載企画ですので、普通に来週も開催されちゃいます。

公開するもしないも歌人次第ではありますが、読者の皆様もぜひコメント欄にて今週のゲームトピックに関する思いのたけ、叫び、今日の夕飯に何を食べるかなどを短歌としてしたため、ぶつけてみてください。