今回の人気モデル:PEUGEOT 308

[PEUGEOT 308]自動車ジャーナリスト 竹岡 圭と巡る人気中古車実車レビュー

文●竹岡 圭、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス
※中古車参考価格はすべてグーネット2024年4月調べ。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2024年6月号の内容です)

試乗レポートではわからない、身近でリアルな使い勝手を実車を取材してレビューするのが、「人気中古車実車レビュー」。デザイン、装備、使い勝手をレビューしつつ、中古車相場についても中古車販売店に取材し掘り下げます。

Profile:自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
カーライフのサポーターとしてTVやラジオなどでもお馴染みの人気自動車ジャーナリスト。全日本ラリーにも参戦経験を持つ。2024-2025 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

目の覚めるような鮮烈なデザインで登場

 今回チェックするのは、フランス生まれのプジョーから発売されている5ドアハッチバック308。取材させていただいたのは、2023年登録の「GT ブルーHDi」で、走行距離は2000km、支払総額は370万6000円です。

 実車チェックを行うのは、自動車ジャーナリストの竹岡圭さん。これまで輸入ハッチバックを乗り継いできた竹岡さんは、308の魅力を次のように説明してくれました。

 「とにかく、プジョーっておしゃれなの。パリのシャンゼリゼ通りにあるアンテナショップを訪れたことがあるけど、自分たちの歴史やブランドに誇りを持っていて、すごく大切にしていることが伝わってきた。そして、フランスのなかでも都会的なイメージのブランドなんだってことがよくわかったの。そもそも、エンブレムからしておしゃれじゃない。それもこの308からは新デザインになってさらに洗練されたけど、個人的には手足がついてた前のデザインが好き(笑)。ハッチバックは日常の足としてはもちろん、レジャーからそれこそ引越しまで使える便利な実用車だけど、プジョーの手にかかるとこんなにスタイリッシュになる。遊び心があるっていうのかな」

 取材する現行型308が登場したのは2022年4月のこと。先代モデルから9年ぶりのフルモデルチェンジを受けました。

 ボディタイプは、ハッチバック(全長4420mm×全幅1850mm×全高1475mm、ホイールベース2680mm)とステーションワゴンの「SW」(全長4655mm×全幅1850mm×全高1485mm、ホイールベース2730mm)の2とおりを用意。パワートレインは1.2L直3ターボ(130馬力)、1.5L直4ディーゼルターボ(130馬力)、そして1.6L直4ターボ+モーターのプラグインハイブリッド(システム合計225馬力)の3種類。

 今回の取材に協力してくれた『プジョー成城』のセールス唐澤さんによれば、308はデザインが好評で、これまでのファンだけでなく他ブランドからの乗り換えも多いのだとか。半導体不足のあおりを受けて、デビュー当初は納車できる台数が限られたそうですが、現在は新車販売も順調なペースに。ただし、「SW」については日本での販売終了が決まり、新車在庫のみとのこと。

 「ステーションワゴンにはSUVにはない安定した走りとか独自の魅力がある。こういうクルマって後々評価が高まって中古車価格にプレミアが付いたりすることもあるから、気になる人はチェックしておいたほうがよさそうだね」

 新型の大きな特徴が、一気にレベルアップした装備類。10インチのタッチスクリーン式インフォテインメントシステムや前車追従式のクルーズコントロール、車線維持サポート機能も標準で備わります。「GT」以上のグレードになれば、さらにナビや360度カメラも標準に。ホイールも18インチとなり、さらにスタイリッシュになります。

 まだ新しいモデルゆえに、中古車はデモカーなど高年式・低走行車が中心。品質面での不安は少ないので、ボディカラーや装備を目安に、自分好みの1台を探してほしい。

歴史と伝統を持つプジョーの主力モデル

 プジョーの30Xシリーズの歴史は戦前からと長い。1990年代には現在のハッチバックスタイルを確立し、スタイリッシュで走行性能に優れたコンパクトカーとして人気を集めている。取材したのは「308 GT ブルーHDi」で、力強く低燃費のディーゼルエンジンを搭載する上級グレード。販売比率も高い人気モデルだ。

中古車参考価格帯:300万円〜430万円(22年〜24年 308 全グレード)

取材協力|PEUGEOT 成城

 都内でも指折りの住宅街である成城の世田谷通り沿いに店舗を構える「プジョー成城」。東名高速の東京ICからほど近く、小田急線「成城学園前」からも徒歩圏内という好立地に、常時20台以上を展示。明るく開放的なショールームは居心地がよく、サービス工場が併設されているため、アフターサービスについても安心できる。

SHOP DATA
住所:東京都世田谷区成城3-20-6
TEL:03-3417-6491
定休日:火曜日、水曜日
営業時間:10:00〜18:30
URL:https://seijo.peugeot-dealer.jp

プジョー 308の実車をチェック!

【デザイン】SUVにも負けない迫力と存在感を放つスタイリング

 歴史あるブランドであるプジョーはこれまでも幾度かトレードマークを変更してきた。308ではリニューアルされた新デザインを初めて採用。5ドアハッチバックは従来、実用的なクルマの代表格だったが、308はSUVに負けない存在感を表現するべくデザインされていて、シンプルながらも人目を引くスタイリングになっている。ユニークな縦型のデイライトはライオンの牙をモチーフにしたもの。3連テールランプは、ライオンの鉤爪をイメージしたディテールだ。

全体はシンプルだがディテールにこだわりが詰まっている。シートはステッチやパターンが非常に繊細で価格帯以上の上質さを演出。

【装備】美しさと使いやすさを両立させるデジタル化されたコックピット

 ダッシュボード中央には、高精細の10インチディスプレイを装備。よく使う機能については下段にショートカットボタンを用意しています。さらにボタンはカスタマイズ可能。純正ナビはインターネットに接続されていて、リアルタイムの交通情報を反映させます。また、ボイスコントロールにも対応しており、「OK、プジョー」と呼びかけることで起動。「アリュール」以外は、テップレザーとアルカンターラのコンビシートやシートヒーターも標準装備されます。

タッチ操作対応のセンターディスプレイに各種機能を集約。運転席のメーターもデジタル化され、さらに表示が3D表現になっている。

【使い勝手】後席は広さに加えて居心地よさも十分確保されている

 かつてのCセグメント車は、前席は快適でも後席の快適レベルは低くなりがちでした。308はそれがかなり改善されていて、足もと空間も広く、肘かけや収納、USBポートといった長時間快適に過ごすための工夫がしっかりとなされています。プジョー特有の「iコックピット」は、小径ステアリングを採用することで、従来よりも少ないハンドル操作でキビキビとした運転を可能にしています。特に体格的に小さなドライバーにとっては、力を入れやすく運転しやすいとのこと。

実用的な5ドアハッチバックである308。スイッチ類は電動化され指先で操作可能。USBポートは前席だけでなく後席にも用意されている。

定評ある使い勝手はそのままおしゃれに変身!

竹岡 圭 レビュー

デザイン[★★★★★]

 最近のプジョーは、止まっていても動きを感じるデザインが特徴的。308から新しいエンブレムになり、よりいっそう個性が際立ってきたと思います。さらにボディカラーがおしゃれ。ほかではなかなか見ない、ブルーやグリーンは街並みに映えること間違いナシ。一緒にお出かけして愛車の写真が撮りたくなる1台だと思います。

装備[★★★★★]

 小径ハンドルの上からメーターを見る、iコックピットと呼ばれる運転席まわりが特徴ですが、特に小柄な女性にはとても運転しやすくてオススメです。ハンドルを握ったときに体に肘がフィットする感じになってまわしやすいし、ドライビングポジションの自由度が高いので、3D表示のメーターからの情報もとても掴みやすいんですよね。

使い勝手[★★★★★]

 ステッチワークが巧妙なシートは見た目がおしゃれなだけじゃなく、ホールド感もいい感じ。さらに後部座席が外から感じるよりも広いので、しっかりファミリーカーとして使えます。液晶ボタンを含め、インパネのスイッチ類も大きめなので、運転中の手探り操作性も高いし、パッと悩まず使いやすいのは美点です。

編集部 レビュー

デザイン[★★★★★]

 とにかくフロントマスクのインパクトが大! シンプルなのにディテールにこだわりが詰まっていて、愛車になったらたくさん写真を撮ってしまいそうだと思いました。ハッチバックというと、取材車両はホイールも18インチと迫力だし、インテリアも上質感アリ。鮮やかなヴァーティゴ・ブルーも目を引きました。

装備[★★★★★]

 プジョーは、ベーシックな「アリュール」を選ぶと価格がお手頃な代わりに、かなり装備はシックでした。しかし、308ではすべてのグレードで標準装備が充実しており、どのグレードを選んでも満足できる仕様となっています。特に安全装備にほとんど差がないのは素晴らしい。「GT」以上はフルオプション状態です。

使い勝手[★★★★★]

 デザインに新しさを感じさせる一方で、ハッチバックとして実用性は丁寧に作り込まれています。シフトレバーやパーキングブレーキもスイッチ式で操作は指先ひとつ。ナビやメーターは画面も綺麗で操作メニューもわかりやすい。運転支援も充実しているので、ロングドライブでも疲れにくいでしょう。

ライバルモデルをチェック!

フォルクスワーゲン ゴルフ

 言わずと知れたハッチバックの王道モデル。最新世代は主力グレードのパワートレインを電動化。1L3気筒ターボに48VのマイルドHVを組み合わせる。ワゴンモデルも存在。

中古車参考価格帯:230万円〜410万円(21年〜24年 ゴルフ 全グレード)

BMW 1シリーズ

 BMWのエントリーモデルとして3世代目に進化した1シリーズ。現行モデルは前輪駆動を基本にすることで空間効率を改善。定評ある走りと装備はそのまま、後席が快適になった。

中古車参考価格帯:210万円〜540万円(19年〜24年 1シリーズ 全グレード)

著者:グーネットマガジン編集部