新型が欲しいけど先代の最終型がじつはねらい目

内外装のデザインだけでなく、技術的な領域まで大掛かりな変更を受けた新型車は、愛車候補として魅力的な存在だ。しかし、冷静になってちょっと前のモデルに目を向けてみると、ユーザーに大きな満足感をもたらす選択がたくさんあるのです。

(掲載されている内容はグー本誌 2024年5月発売号掲載の内容です)

先代最終型と比較して考えてみよう。条件次第で得られる意外に高い満足度

 新型車はフルモデルチェンジによって機能や装備がバージョンアップしたことをアピールしているから、その点では魅力を感じるかもしれない。しかし車内の広さとか、荷室の容量といったクルマの基本構造に依る領域については、新旧を比べたときに生じる差がほとんどない場合がある。愛車選択時に新型車と先代最終型を比較するときは、ここに挙げたポイントをふまえて検討してみよう。「これでいいじゃないか」と思える要素が浮き彫りになるはずだ。

POINT_01 キープコンセプト

人気車種だからこそあえて変化せず
 フルモデルチェンジではデザインや機能など、あらゆる部分を刷新するのが一般的だが、すべてのクルマがそうであるとは限らない。市場で一定のユーザー層を確保していたり、クルマのイメージが確立されている人気車は、大胆に変貌して冒険するよりもあえてコンセプトを維持するケースが多く、新型と比較して明確な差がつきにくい。

新旧を並べて細かく確認すれば違いは見て取れるが、クルマの性格を決定づける要素に大きな変化はない。
POINT_02 機能・装備の内容

最新版へのバージョンアップよりも用途や目的に適していることが重要
 さまざまなクルマに触れる機会が多いモータージャーナリストならいざ知らず、ユーザーレベルでは走行性能において新旧の差を感じるのは難しい。そこで重視すべきは、日常的な用途での利便性の良し悪しだ。自身のニーズを見極めたうえで機能や装備の内容を吟味すれば「これで十分」と思える要素が先代最終型にも大いにある。

日常的な場面における使い勝手の良し悪しは、クルマに対する満足度に大きく影響する。車種によっては「先代型のほうがよかった」と感じることもある。

POINT_03 相場価格も要チェック

「先代型」だからこそお得に購入できる
 モデルチェンジされて新型が市場に導入されると、先代型の中古車相場は確実に下がる。先代最終型の場合は年式がさほど古くないため相場の下落率は低いが、高価格化が著しい新型を購入するよりも断然お得である。しかも、ちょっと前までは新車市場における第一線を担っていたわけだから、所有する満足度は高い。

新型への乗り換えによって中古車市場での流通が増加し、需給バランスが崩れて相場が下がる。人気車の場合はそうした動きが顕著となる。
POINT_04 車両本体価格

進化の度合いが価格に反映されて高額化
 モデルチェンジでは性能向上をねらって新たな機能や装備が追加される。進化はユーザーにメリットをもたらす一方で、車両価格の高額化につながる要因のひとつになる。しかし先代最終型は必要にして十分な性能を有しているので、モデルチェンジの際に上昇した価格に見合う満足感を新型車で得られるとは限らない。

機能や装備の充実によって快適性や実用性は確実に高まるが、それらがすべてのユーザーに有益となるわけではない。価格に見合った価値を冷静に分析しよう。

現行型よりもお得で納得できる選択はこちら 【先代最終型】購入のススメ

新型車の利点すら凌駕するメリットに着目してみよう
 新車の納期は正常化しつつあるが、それでも人気車なら数ヶ月待ちという状況は依然として変わらない。しかも、モデルチェンジによって機能や装備が新たに追加されて進化した内容が車両価格に反映されることで、新型車は軒並み高額化していることからおいそれと手が出しにくい。こうした新型車を購入するためのハードルを考慮すると、新型車が欲しい気持ちをいったん抑えて中古車に着目してみるのが賢い選択に思える。特に、同一車種の先代最終型に目を向けてみると、新型車と比較してデザインであったり、機能の内容について大きな差がない車種が意外に多いことに気付く。
 最新こそ最良であることから、新型車がユーザーに多くのメリットをもたらすが、その点では先代最終型も負けてはいない。先代最終型の利点はいくつかあるが、特に着目したいのは登場から数年かけて性能向上が図られていることや、機能や装備が選りすぐられているので無駄がないことが挙げられる。もちろん中古車なので、価格を新型車と先代最終型の同グレードで比べてみるとお得度は一目瞭然。ユーザーによってクルマを所有する目的や用途は異なるが、そうした諸事情を加味したうえで、双方の特徴を詳細にチェックすると、「これでいいじゃないか」と思える要素が明らかになってくる。

[軽自動車]人気車種揃いのスモールカーは得な選択多し

日本で最も売れているクルマ

ホンダ N-BOX
ターゲットはこの年式
2020年12月〜2023年9月

ねらい目の理由

軽カークラスの最量販車種は流通台数が豊富で買いやすい
 ホンダが得意としてきたミニバンの魅力を凝縮した「ミニ・ミニバン」として開発され、幅広いニーズに対応できる。軽自動車クラス最大級の室内空間には実用的な機能や装備が充実していることから、使い勝手のいい軽自動車を求めるユーザーのニーズを満たしてくれる。

オススメの理由▶機能性

日常的な用途で感じる実用面での弱点はほとんどなし
後席は左右独立してスライドが可能なうえにチップアップ&ダイブダウン機構が備わる。荷室は開口部が大きく、低床なので大きな物も積みやすい。

オススメの理由▶走行性能

乗って感じる劇的な変化は最小限にとどまる
エンジン出力を効率よく生かす技術が投入され、実用回転域の駆動力に十分な余裕が確保されている。あらゆる場面でストレスなくドライブできる。

相場動向チェック

日本で最も売れているクルマとあって、先代最終型に絞り込んでも、中古車市場における流通台数が豊富なことから選びやすい。
「中古車市場データ」最終型の相場価格 42.5万〜196.2万円

ズバリ!! これだけお得 新型との価格差 約20万円
軽自動車は値落ちが少ないと言われるが、新型のベースグレードと先代最終型のGホンダセンシングでは相応の差がある。

家族や仲間とワクワク楽しく乗れる

スズキ スペーシア
ターゲットはこの年式
2020年8月〜2023年10月

ねらい目の理由

ハイト系ならではの特徴だけでなくバリエーションが多彩なのも魅力
 広々とした車内は後席に乗る人に対する配慮が行き届いているうえに、便利な機能や装備が充実しているため、軽自動車であっても家族や仲間とともに楽しくドライブできる。標準仕様やカスタムのほか、先代型ならレジャーユースに最適な機能を備えたギアも選べる。

オススメの理由▶荷室スペース

27インチサイズの自転車など大きな荷物も余裕で積める
十分なスペースが確保されているうえに、後席がワンアクションで格納、復帰できるワンタッチダブルフォールディング式で使い勝手は良好だ。

オススメの理由▶安全性

ミリ波レーダーと単眼カメラが広範囲で安全運転をサポート
デュアルセンサーブレーキサポートをはじめ高速道路などで逆走防止に役立つ標識認識機能が採用されるなど、幅広い場面で安全な運転をサポート。

相場動向チェック

新型が2023年11月に登場して以降、流通台数は増加傾向にある。先代型はN-BOXに迫る人気を獲得しており高値安定傾向となる。
「中古車市場データ」最終型の相場価格 66.9万〜149.1万円

ズバリ!! これだけお得 新型との価格差 約22万円
ハイブリッドXの価格で比較。新型は燃費性能が向上して25.1㎞/ℓを達成しているが、先代最終型も22.2㎞/ℓと優秀。

[ミニバン]ファミリーカー選びは快適性と安全性を重視

豪華さと装備を極めた高級ミニバン

トヨタ アルファード
ターゲットはこの年式
2019年12月〜2023年5月

ねらい目の理由

Lサイズの高級ミニバンらしい揺るぎない存在感は存分に味わえる
 人目を引く外観デザインや上質な内装、快適な居住性、柔軟な乗り心地といった特徴がウケてファミリーだけでなく、法人向けの移動車としても選ばれている。後席の快適性に優れ運転支援機能が充実していることから、大切な人を乗せて心地よく安全に移動できる。

オススメの理由▶シートアレンジ

現行型にはないベンチシート仕様の8人乗りが選択できる
新型は7人乗り仕様しか選べない。エグゼクティブシートは電動調整やオットマンが備わり座り心地は快適だが、シートアレンジの自在性に乏しい。

オススメの理由▶安全性

高い認識性能と信頼性を両立した安全装備が充実
歩行者(昼夜)や自転車運転車(昼)も検知して万が一の衝突を回避できる機能など、先代最終型には新型と同等の安全装備が標準で備わっている。

相場動向チェック

人気車種とあって市場での流通台数が多いが、ねらいはコネクティッドカーとしての機能が追加された2019年以降のモデルとなる。
「中古車市場データ」最終型の相場価格 185万〜448万円

ズバリ!! これだけお得 新型との価格差 約150万円
高額車両とあって先代最終型に絞っても相場は高値となるが、エグゼクティブラウンジで比較すると大きな差が生じる。

ミニバンとしての基本性能はハイレベル

日産 セレナ
ターゲットはこの年式
2019年8月〜2022年10月 

ねらい目の理由

ハイト系ならではの特徴と大幅に強化された安全性も魅力
 e-POWERの採用やプロパイロット搭載車が選べるといった独自性だけでなく、居住性や実用性に優れ、誰でもスマートに扱えることに注力した作りがなされているのも魅力だ。ミニバンとしての能力は、新型と比べても遜色がないというのも購入を後押しする要素となる。

オススメの理由▶燃費性能

e-POWER搭載モデルなら走りの能力に遜色なし
100%モーター駆動ならではの力強く滑らかな加速性能を発揮。アクセルを踏み増したときの反応がよく、市街地走行でストレスを感じさせない。

オススメの理由▶運転支援

プロパイロットは売れ筋グレードに標準装備
プロパイロット装着車なら、高速道路の渋滞走行や長時間の巡航走行時に感じるストレスを大幅に低減できるので、ロングドライブが楽しくなる。

相場動向チェック

人気車とあって相場は安定傾向。2ℓガソリン仕様を選べるが、走りと燃費のバランスを考慮するならe-POWER搭載車がねらい目だ。
「中古車市場データ」最終型の相場価格 94万〜368万円

ズバリ!! これだけお得 新型との価格差 約24万円
新旧ともにe-POWERハイウェイスターVで比較。新型の登場によって相場が下落傾向にあり、今後も価格差は広がる。

ファミリーカーならこんな選択もアリ

室内が広くて快適装備が充実し、3列ある座席がいずれも座り心地がいいというミニバンの特徴は、ファミリーカー選びで理想的な条件といえる。ミニバン以外にも元祖ファミリーカーのセダンや実用性に秀でたコンパクトカーもオススメだ。クルマ選びではあなただけの趣向に偏らず、家族の意見も尊重しよう。

スズキ スイフト
ターゲットはこの年式 2020年5月〜2023年11月
ズバリ!! これだけお得 新型との価格差 約45万円
「中古車市場データ」最終型の相場価格 83.2万〜112万円

欧州車に比肩する走行性能が持ち味
走りに関する能力は国産コンパクトカーのなかでも上位に位置付けられ、欧州車と比べても遜色のない実力を持つ。新型が登場したことで相場は下落傾向を強めている。

スズキ ソリオ
ターゲットはこの年式 2018年7月〜2020年10月
ズバリ!! これだけお得 新型との価格差 約24万円
「中古車市場データ」最終型の相場価格 43.9万〜188万円

実力派のハイト系コンパクト
小型のボディに両側スライドドアをはじめとした便利な機能を採用し、1700㎜を超える全高によってミニバン的な使い勝手を実現している。相場も手頃で買いやすい。

トヨタ カローラアクシオ
ターゲットはこの年式 2017年10月〜2019年8月
ズバリ!! これだけお得 新型との価格差 約85万円
「中古車市場データ」最終型の相場価格 69万〜183万円

希少な5ナンバーサイズセダン
今となっては希少な5ナンバーサイズセダンだ。中古車の流通台数は多いが、安全装備が強化された2017年以降のモデルがねらい目。新型との価格差も大きく買い得だ。

[SUV]人気のクロスオーバーモデルなら多彩なニーズに対応

プレミアムSUVのパイオニア

トヨタ ハリアー
ターゲットはこの年式
2017年6月〜2020年6月

ねらい目の理由

シティSUVらしいスポーティでエレガントな雰囲気は健在
 SUVにありがちな乗り心地の粗さを抑え、プレミアムSUVらしい重厚で落ち着いた運転感覚を持ち味としている。主力グレードとなる2.5ℓ+モーターのハイブリッド仕様は、車重に見合う動力性能を発揮して、加速感も滑らかだ。車格のわりに燃費性能にも不満はない。

オススメの理由▶上質感

高級感と先進感を表現した内外装の作り込み
タブレット端末のような機能性と先進性を両立したセンタークラスターなど高級感と先進感を融合。前後席ともに心地よく乗車できる。

オススメの理由▶走行性能

高級SUVにふさわしい重厚な運転感覚が堪能できる
ボディサイズが大きく、1700㎏超の車重が影響して操縦性は俊敏さに欠けるが、高級SUVならではの重厚なフィーリングが美点となっている。

相場動向チェック

パワーユニットは3タイプ設定されるが、流通台数が多いのはハイブリッド仕様だ。新型登場から4年経過しても相場は高値で推移。
「中古車市場データ」最終型の相場価格 138.8万〜451万円

ズバリ!! これだけお得 新型との価格差 約45万円
新型のZレザーパッケージと先代最終型のプログレスで比較。値落ちは少ないものの、40万円以上の価格差となる。

扱いやすいサイズと走破性を両立

スバル XV
ターゲットはこの年式
2020年9月〜2022年10月

ねらい目の理由

優れた利便性と走破性でアクティブライフをサポート
 「スポカジスタイル」と銘打った都会的でクールなスタイルや乗用車感覚でカジュアルに乗れる特徴は、老若男女問わず幅広い層に推奨できる。ハッチバックベースのクロスオーバーだが、AWD制御システムのX-MODEを採用することで本格SUV並みの悪路走破性を発揮。

オススメの理由▶実用性

十分な積載容量で多彩な用途に対応できる
荷室は開口部が広く、床がフラットなうえに左右の凹凸も少ないため荷物が積みやすい。アレンジパターンはシンプルだがレジャー用途にも対応する。

オススメの理由▶アイサイト

クルマはもちろん歩行者や自転車を検知可能
新型のアイサイトは進化しているが、先代最終型でも車線中央維持機能や全車速追従機能付きクルーズコントロールによって高度な運転支援を実現。

相場動向チェック

新型は車名をクロストレックに変えたものの、見た目や機能は先代最終型を踏襲している。そのため先代最終型の相場はやや高値だ。
「中古車市場データ」最終型の相場価格 129.8万〜270.4万円
ズバリ!! これだけお得 新型との価格差 約55万円
新型はリミテッド、先代最終型は2.0e-Lアイサイトで比較。新型登場から1年程度だが、価格差が広がってお得感がある。

クロスオーバーならこんな選択もアリ

クロスオーバーSUVが人気ジャンルとして定着した理由は、SUVならではの機能を持ちながら、街なかで映えるスタイルやタウンユースを念頭においた作りがなされているからだ。走行性能、居住性や実用性といった能力が高い水準でバランスされているため、ライフスタイルの変化にも柔軟に対応できる。

スズキ ハスラー
ターゲットはこの年式 2015年5月〜2019年12月
ズバリ!! これだけお得 新型との価格差 約15万円
「中古車市場データ」最終型の相場価格 25.5万〜179.9万円

アクティブに使える軽クロスオーバー
個性的なスタイルで人気を集めているが、実用性や居住性に優れていることから日常的な用途で使いやすく高い満足感が得られる。軽自動車なので値落ちは少なめだ。

レクサス NX
ターゲットはこの年式 2017年9月〜2021年10月
ズバリ!! これだけお得 新型との価格差 約115万円
「中古車市場データ」最終型の相場価格 199.1万〜608万円

爽快に走れるスポーティSUV
躍動的なスタイルとシャープな運転感覚を特徴とするコンパクトSUVだ。車内はレクサス車らしい上質な雰囲気が漂う。登場から年数を経て、値ごろ感を強めている。

スバル フォレスター
ターゲットはこの年式 2015年10月〜2018年7月
ズバリ!! これだけお得 新型との価格差 約81万円
「中古車市場データ」最終型の相場価格 57.8万〜248.8万円

オールラウンドな能力が魅力
シティSUVだがハードな悪路走行が可能なタフさを持ち、力強いパワーユニットの恩恵によって他車と一線を画す走りが味わえる。安全性の高さもセールスポイントだ。

著者:グーネットマガジン編集部