文●九島辰也 写真●トイファクトリー

 コロナ禍に生まれたキャンプブーム。もはや死語とも言えなくもない「三密」を避けるようなカタチで火がつきました。家族単位でクルマで移動、そのままアウトドアで過ごすのだからこれは都合がいい。オートキャンプ場は連日クルマで溢れていましたね。

 そんな折、注目を集めた企業があります。岐阜県可児市に本社を構えるトイファクトリー。ハイエースベースのキャンピングカー製造台数は国内首位だそうです。徹底的にこだわり抜いた内装は快適で、多くのファンを生みました。ニュース番組で取り上げられていたのを偶然拝見したことがあります。本気のキャンピングカーです。

 彼らはこうしたクルマの可能性にも挑戦しています。災害時に何かできないかと考え、最新のポータブルトイレ「clesana(クレサナ)」を搭載したトイレカーの製作がそうです。車内には2つの個室があり、それを自治体と共同で設置。能登半島地震被災地となる珠洲市に派遣された実績を持ちます。災害時のトイレ問題は大切ですから助かります。これまでもドクターカーやペット仕様モデルなど特殊車両を多数手掛けてきました。

 そんなトイファクトリーが今度は輸入キャンピングカー専門店をオープンしたという話です。場所は神奈川県相模原市の国道16号線沿い。東名高速の横浜町田インターから程近い場所になります。

EURO-TOY相模原

 訪れて驚いたのはその大きさ。見えてきたのは巨大な屋内展示場で、天井は高く吹き抜け構造。でもって通りに向いた側面全面がガラスになっているのですから目立ちます。ウッドボードの使い方もグッド。アウトドア感を醸し出します。「国内最大級の屋内ショールーム」という触れ込みは本当のようですね。

 施設の名称は「EURO-TOY相模原」。トイファクトリーが手がけるヨーロッパブランドの輸入キャンピングカー専門店となります。扱うのは、フィアット・デュカトベースのオリジナルキャンピングカーや日本正規代理店契約を締結したドイツのエトルスコ(ETRUSCO)とウエンズバーグ(WEINSBERG)、イタリアのライカ(LAIKA)、など日本初上陸となるモーターホームブランドです。彼らは今年4月からそれらの国内販売を開始しました。

LAIKA KREOS

 フィアットに関してはFIAT Professionalとしてデュカトの国内販売や架装キャンピングカーの製作を行います。国内No.1バンコンバージョンビルダーとしての実績でオリジナルを提案します。彼らが掲げる「本場ヨーロッパのキャンピングカーに肩を並べる高いデザイン性と日本の四季に合わせた断熱クオリティ」は見ものです。そもそもトイファクトリーは寒暖の差を抑えるボディ高断熱施工や大手電機メーカーと共同開発した高効率発電システムなど高い技術がウリですから。そこは安心していいと思います。

DAVINCI LUSSO

 展示されているクルマはどれもゴージャスに見えます。エクステリアはボリュームがあり、圧倒的な存在感を発揮します。それにデザインもかっこいい。国産に置き換えるとこのクラスはトラックベースになってしまい見た目もそこが消せませんが、輸入キャンピングカーは違います。見るからにゴージャスかつエレガントでプライベートカーであることを認識します。色の使い方やラインの入れ方、デコレーションの仕方がそうなんでしょう。オシャレで凝ったデザインが施されます。

 そしてキャビンに入れば別世界。クルマの中とは思えない高級感あふれる空間が広がります。デザインされたファニチャーに使われるウッドやレザーの質感は上質だし、照明器具も凝っています。間接照明の光の柔らかさは最高ですね。モダンファニチャーに囲まれた一流ホテルのラウンジのようです。

 こうした世界観はまさに本物である証でしょう。これまで300回くらいヨーロッパへ渡り、ハイエンドな世界を取材してきましたが、それに通じるものを感じます。いわゆるヨーロッパのセレブリティが日常的に触れる世界観です。いやぁ、お見事。ため息が出ちゃいます。個人的にリアルにキャンピングカーで旅したことはありませんので使い勝手の部分はわかりませんが、実車を見たら憧れる人は多いはず。「こいつでどこへ行こう」なんて、妄想が膨らみます。

【EURO-TOY オフィシャルサイト】 

https://www.euro-toy.jp/

著者:九島辰也(くしま たつや)