車の積載量を大幅にアップできる「ヒッチキャリア」。利便性は高いのですが、調べてみると道路交通法への抵触の可能性や運転の難しさなど、さまざまな問題があることがわかります。しかし、そんな問題をクリアしやすい日本製ヒッチキャリアがあるのをご存じですか?その名も『INNO INA530』。今回はこちらをレビューしていきます!

ヒッチキャリアの大半はアメリカ製。 しかし国内で使うには様々な問題が…

「ヒッチキャリア」とは、自動車の後部に接続する増設用の荷台です。

キャンプ場などで目にしたことはありませんか? あるとかなり玄人っぽい印象になりますよね。

画像(車体中央下部の四角い部分)のような「ヒッチメンバー」という自動車側の受け口が必要で、そのための加工も事前に必要(これが難関で10万円程度はします)ですが、ヒッチメンバーさえあればヒッチキャリア自体の取り付けは簡単。積載量も大幅にアップするので、あると大変便利なものです。

このヒッチキャリア。実は市販されているものは大半がアメリカ製です。

それだけにワイルドな見た目がカッコいいのですが、良いことだけではなく、実際に使用するとなるとそれなりに問題となる部分もあります。

アメリカ製を日本国内で使用する際の懸念点

  1. サイズが非常に大きく、運転の支障になることがある(場合によっては地面に接触も)。
  2. 鉄製で重く、取り付けが大変。また錆びる可能性がある。
  3. 道路交通法に抵触してしまう可能性があり、十分な知識や対策が必要になる。

筆者が問題と思ったのは上記3点。

2はガマンできるにしても、1は大事故に繋がる恐れがありますし、3も違反となった場合二度とヒッチキャリアを使いたくなくなるでしょうから、あまりグレーゾーンに当たるようなものは使用したくないなと考えました。

そんな時、上記のような問題が一気に解決できる日本製ヒッチキャリアを見つけました。

それが「INNO INA530」です。

実際にこちら、筆者が使ってみてまったく不満の出ない品でした。

今回はこの「INNO INA530」の魅力について、解説していきます。

【スペック】

  • 製品重量 7100g
  • 製品サイズ H80×W430×D1260(mm)
  • パッケージ重量 9400g
  • パッケージサイズ H120×W470×D1315(mm)
  • カートン重量 9400g
  • カートンサイズ H120×W470×D1315(mm)

「INNO INA530」は小ぶりで軽量なアルミ製だから使いやすい!

「INNO INA530」は、厳密にはルーフデッキ(自動車の天井上に取り付けつけるデッキ)ですが、ヒッチキャリアとしても使用できます。

ただし、ヒッチキャリアとして使用する場合、専用オプションのヒッチキャリア取り付け用フレーム「IOP57」が必要になります。

「INNO INA530」の気になるサイズは1,260mm × 430mm。重量はアルミニウム製で比較的軽く、7.1kgとなっています。

これがアメリカ製のものになると、一回り以上大きい1,500mm × 600mm程度、重量はなんと30kg近いものが一般的なので、取り回しやすさという部分では歴然たる差がありますね。

特筆すべきは、「INNO INA530」がアルミニウム製であることです。

おかげでアメリカ製の一般的な物より1/3程度に軽量化されていますし、しかも錆びにくいというメリットもあります。

ヒッチキャリアは自動車の低い箇所にまっすぐに突き刺すように設置するので、取り付け時の姿勢は辛く、重量は思った以上に堪えます。

取り付け取り外しも頻繁に行うものですし、この差は極めて重要だと思います。

では「INNO INA530」が小さいかというと、筆者が座れるぐらいのサイズ感はありますので(最大積載量は75kgで実際は大幅な重量オーバーです。あくまでもサイズ感をお伝えするための画像と思ってください!)、キャリアとしては十分なサイズ感はあります。

荷物の積載はバッグ併用で汚れを気にせず乗せられる!

「INNO INA530」にはいわゆる「柵」がありません。

一応オプションで柵として使用できるアルミフレーム「IOP56」があり、これとネットの組み合わせでも荷物の固定はできますが、その場合積載スペースがひと回り小さくなってしまいます。

なので筆者の場合は、ベルト付きの防水バッグを使用しています。

1,220mm × 480mmとサイズがキャリア(1,260mm × 430mm)に対してちょうどよく、雨天時含め、中の荷物が濡れたり汚れたりしないで済むのは便利です。

6本のバックル付きテープがあらかじめついているので、これだけでガッチリと「INNO INA530」に固定ができるのも無駄がありません。

荷物の中身ですが、筆者の場合、テンマクデザインの薪ストーブ(ウッドストーブM)とテントを入れています。

テントは画像ではテンマクデザインのサーカスSTですが、オガワのティエララルゴという大型テントでも収納可能でした(ただし、その場合はウッドストーブMのバッグの左右ポケットの中を少し減らしています)。

他にもクーラーボックスやコンテナなど、大型の荷物がここに入る候補になりそうですね。

これだけ大きいものを積めるのであれば、全体的な積載量はグンとアップします。

法的にも安心、走行時も怖くない!

ヒッチキャリアは使用時、ナンバーが見えなくなってしまうことを避けねばなりません。

「INNO INA530」で薪ストーブなどを積載してもナンバーがしっかり目視できますので、この点に関しては完全にクリアできていると思います。

その他、ブレーキランプなども隠れることはなく、この点の法適合性も問題はないと言えます。

さらに、横幅が自動車の全幅を飛び出ることも法的にNGですが、1,260㎜の「INNO INA530」は、ほとんどの自動車の全幅よりも小さいので、この点も安心です。

以上3点は絶対にクリアしないといけない法規制ですが、「INNO INA530」はこれらに関して、まず万全と言ってよい商品です。

唯一気をつける必要がある部分があるとすれば、それは「前後幅」でしょうか。

道路交通法には「積載物が前後にはみ出る場合、その長さは自動車の長さの1/10を超えないこと」とありますが、自動車の全長やキャリアの取り付け方を含めた確認が必要です。

筆者の場合、マツダ純正のヒッチメンバーの差し込み部の径が40mmしかなく、「INNO INA530」の径である50mmとサイズが合いませんでした。

そのため、画像のサイズ変換コネクタが必要となりまして、その分全体の前後幅が1/10を少し超えるぐらい延びてしまったんですね。

ただし、ヒッチキャリア、コネクタ含め、これらはいわゆる「指定部品」に該当し、「積載物ではなく、物を運ぶ為のもの」とする見方が一般的であるため、問題ないと筆者は考えています。

※「指定部品」とは、車を購入後に交換、または装着することにより、車検証記載の項目に変更があった場合でも、条件次第で構造変更を必要としないアフターパーツのことを指します。

どんな自動車であっても法的な問題に抵触しにくいのは、さすが国産という感じがします。

ちなみに運転時の操作感もヒッチキャリアの存在をほとんど忘れてしまうレベルです。

どこかに引っかけたり、後退の際に車輪止め含めてぶつけるようなことは少し考えにくいぐらいのサイズ感で、段差で下面を擦るようなことも今のところありません(これも車種によると思いますが)。

慣れないうちは荷物落下の怖さはありますが、サービスエリア辺りでこまめに確認と縛り直しをすれば、徐々に恐怖感もなくなってきます。

2〜3回練習すれば、どなたでも安心して乗れると思います!

ガタストッパーをつけてより安全にドライブをしよう!

ヒッチキャリア自体の取り付けは慣れてくると5分もあればできるようになります。

その際、「ガタストッパー」という商品をさらに上から取り付けることで、よりヒッチキャリアが安定感を増し、安全に運転ができるようになります。

比較的安価ですが、接合部をそのまま挟み込む合理的な構造で、振動や万一の事故を防いでくれます。

ガタストッパーをつけることで取り付け時間も5分程度は増えてしまうと思いますが、安心感は大幅に変わってくるので、是非おすすめしたい商品です。

ちなみに筆者の場合、「INNO INA530」にあらかじめ変換アダプターを取り付けた状態で、自宅の屋内に保管しています。

変換アダプターにはガタつき防止のネジもついており、ここは簡単に取れない構造です。

この状態からの取り付けの流れをお見せします。

といっても話は簡単で、ヒッチメンバーについているゴム製のフタを外したら、ヒッチキャリアをまっすぐそこに差し込み、メンバーとキャリアの穴を重ね、そこに付属の金属棒を挿し、ピンでロックします。

実はこれだけでも一応完成です。が、さらにここにガタストッパーを固定します。

ガタストッパーも、ヒッチメンバー、ヒッチキャリア、両方を固定するように取り付け、ここだけスパナでボルトを締め上げます。

これで完了。

これだけの作業で積載スペースが大幅アップするのはありがたいですよね。

ルーフボックスとヒッチキャリアを比較!

キャンパーが自動車の積載量を増やす手段としては、ルーフボックスのほうがヒッチキャリアよりも一般的かもしれません。

筆者はルーフボックスも使っているのですが、比較してみるとこんな感じがします。

●ルーフボックスのメリット・デメリット

【メリット】

  • 長尺もの(コットやロールテーブル)が収納しやすい。
  • セキュリティ面が安心で、入れっぱなしでもOK。
  • 運転していて気兼ねする場面があまりない。

【デメリット】

  • あまり大きなものはしまいにくいし、持ち上げたりするのも大変。
  • 高さ制限のある駐車場では神経を使う。
  • 取り外しが大変で、どうしても付けっぱなしになってしまう。

●ヒッチキャリアのメリット・デメリット

【メリット】

  • 大きなものや重いもの(テントや薪ストーブ)を収納しやすい。
  • 取り外しが簡単で、必要な時だけ使える。
  • 全長が伸びるとはいえ、駐車に影響があるほどではない。

【デメリット】

  • 運転自体は大変ではないが、走行時の不安が払拭できるまでの慣れがいる。
  • 盗難などの恐れはあるので、常に注意が必要。

比較してみると、両者のメリットデメリットはまるで真逆に思えます。

使い道もまったく違います。

ですので、我が家では、普段使いはルーフボックス、ファミリーキャンプなどで特に荷物が増える際はヒッチキャリアも併せて使う…のようなパターンが多いです。

両方揃うと鬼に金棒というか、積載に対して深く考える必要がほぼなくなります。

適当に積んでも全部の荷物が驚くほどすんなり載りますし、あれば便利程度の荷物も遠慮なく持って行くことが可能です。

国産ヒッチキャリア「INNO INA530」かなりおすすめ!

ヒッチキャリアを使ってキャンプをするのであれば、使いやすい「INNO INA530」はかなりおすすめです。

日本国内で安全にヒッチキャリアを使いたい方は、是非参考にしてくだい。