いたずらしてしまったいぬは、悪いことをしたとわかっているのか申し訳なさそうな顔を見せることがあります。反省している様子があからさますぎると笑ってしまいますよね。X(ツイッター)では、なぜか申し訳なさそうに飼い主さんを出迎えるいぬが話題になっています。当時の様子について、飼い主さんに詳しいお話を伺いました。

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「耳が語っておるわ」 ピンときた飼い主さん

「いつもドア開けた途端にすっ飛んできて狂喜乱舞で出迎えるのに……。玄関先でこの態度ってことは……。耳が語っておるわ」

 なんだか意味深なコメントが添えられた1枚の写真。そこには、玄関先で姿勢良くおすわりをするいぬが写っています。耳をペタンと倒してカメラを見つめ、どこかばつが悪そうな表情です。

 いぬと暮らしている人は、想像がついたかもしれません。これはきっといたずらをして申し訳ないと思っている表情で、飼い主さんもピンときた様子です。

 その写真がXで公開されると、2万件もの“いいね”を集めました。リプライ(返信)には「めっちゃわかりやすい」「怒られる前に自ら反省の意を示すタイプ」「なんだ? ソファか? ゴミ箱か?」「かわいすぎる何してても許すの一択」「あー……なんかやってますねこのおかおは」など、多くの声が寄せられています。

10歳で虹の橋を渡ったけやきちゃん

 キュートな表情を見せたのは、元保護犬の女の子「けやき」ちゃん。殺処分寸前だったところを、保護団体によって保護されました。

 お名前は一時預かり先で付けられていたもの。その預かり先では50音順に名前が付けられており、けやきちゃんは9番目だったので「け」から始まる名前になったそうです。

 けやきちゃんはその後、飼い主さんの目に留まりお迎えされました。平和主義で穏やかな性格に育ちましたが、幼少期に十分なごはんが食べられず飢餓期間が長めだった経験から、食べ物に執着する傾向があったそうです。そのため、食べ物に関連して問題が起こることもしばしば。

「なんでも口に入れるので、カエルを食べて胃洗浄、ザリガニ釣りの糸を飲み込んで内視鏡のお世話になるなど、人騒がせないぬでした」

 それでも、飼い主さんはそんなけやきちゃんの癖を受け入れ、たっぷりの愛情をかけて育ててきました。

 ところが、突然の悲劇が訪れます。けやきちゃんは脾臓の血管肉腫を発症。2020年の1月20日、わずか10歳2か月で虹の橋を渡りました。

「自覚はあるけど、やめられないのがいぬの性」

 飼い主さんは、けやきちゃんとの愛があふれる思い出を振り返りながら、Xに写真を投稿しています。今回、話題になった写真も、なにげない日常の一枚です。

 けやきちゃんのいたずらを察した飼い主さんはその後、リビングで荒らされたゴミ箱を発見しました。

 飼い主さんは「つまり、こういうこと」と、ゴミ箱の写真と、黙々と片づける飼い主さんを申し訳なさそうに見守るけやきちゃんの写真も投稿しています。

 飼い主さんは「自覚はあるけど、やめられないのがいぬの性」と、けやきちゃんを怒ることはしなかったそうです。むしろ、「片づけて出なかった私が悪いし、リビングのゴミ箱は紙くずだけだし」と広い心で受け止めていました。

「基本、怒るふりはしても本当に怒ったことはないので、そのときも黙って片づけました。その間、けやきは耳を寝かせ、口を結んで様子をうかがっています。片づけ終わってから顔を見て『はい、もういいよ』というと、待ってましたとばかりに頭から飛び込んで媚びてきます」

 もうしないよと言っているような空気感を出すけやきちゃんですが、繰り返しいたずらをしてしまうことも多かったといいます。ゴミ箱を荒らしたのも初めてではなく、キッチンの生ゴミを荒らして、寝室の方までゴミが続いていく大惨事になってしまったこともあったのだとか。

 その経験から、侵入できないようキッチンにゲートを設置。そして、リビングのゴミ箱には紙だけを捨て、さらに外出する際は、キッチンにゴミ箱を移動させることを徹底していたそうです。

 つらい経験を乗り越えて、愛情深い飼い主さんと出会い、最期までたくさんの愛をもらったけやきちゃん。これからも空の上から飼い主さんのことを見守ってくれることでしょう。飼い主さんはこれからもけやきちゃんを悼み、大切な思い出をXで発信していきます。

○取材協力:はぐれ&けやき(@e_hagure)さん

Hint-Pot編集部