シンガー・ソングライターの長渕剛が22日、東京・タワーレコード渋谷店で約7年ぶりの新アルバム「BLOOD」発売を記念したミニライブを行った。

 「元気してた? オレはすこぶる元気です!」。やまない「ツヨシ」コールの中、限定300人と拳を上げた。息づかいが聞こえるほどの至近距離で「みんなで歌おうか」と呼びかけ、代表曲「とんぼ」を大合唱した。

 7日に肺気胸を発症して入院生活を送ったことを明かしたが、「コンディションはバッチリだね!」と完全復活を宣言した。「苦しかったのは3日間ぐらいかな。息を吸う時に少し痛かったぐらいで。針の穴ほどだったので大事に至らなくて(良かったよ)」と安ど。「絶対安静はオレにとって強敵だからさ。(入院)3日目かな、痛みも和らいだから、バレないようにスクワットをやり始めたの。29回目か30回目ぐらいの時、看護師さんが入ってきて『ダメでしょ』『絶対に安静にしてください』って(笑い)。もう大丈夫だから」

 今年初パフォーマンスは、久々となるライブハウス規模。「渋谷の空に狼煙(のろし)を上げる、そんな気持ちかな」。ギターをかき鳴らし、「優しさ」「温かさ」をテーマにしたアルバムから収録曲「黒いマントと真っ赤なリンゴ」「BLOOD」、予定になかったアンコールで「乾杯」を披露するなど、5曲で力強い歌声を響かせた。

 何のためにギターを持つのか―。デビューから45年以上を経て、なお、長渕は自問自答を続ける。

 「10年、20年じゃなくて、30年、40年、50年とやっていこうと思うのであれば、血のにじむような苦しみを味わっていきますね。その苦しみみたいなものは、表面には出ないですよ。でも、そういう思いをしてまでも、ギターを持って、ステージに立つ意味みたいなものがある。苦しい(瞬間もある)けど、『今が幸せ』っていう時を作るようにしていますね」

 6月25日から全国ツアー(6か所11公演)を控えるが、「リハーサルに突入してガンガンやっていますから。爆発的なコンサートを展開したい。さらにここから10年、20年と駆け上がっていくぞ!という感じですかね」。ワンステージの重みは、キャリアを重ねる度に増すばかりだ。

 「毎年そうだけど、味わいが変わってくるよね。1回、1回(の公演が)いとおしいというかね。1つ、1つの場所(=会場)を、より大事にしています。常に初心ですね」

 多くのファン、気心の知れた仲間たちへの恩返しの気持ちを胸に、ステージに立ち続ける。