◆米大リーグ カブス3―6パドレス(6日・米イリノイ州シカゴ=リグレーフィールド)

 パドレスのダルビッシュ有投手が6日(日本時間7日)、敵地でのカブス戦で今季7度目の先発登板し5回を3安打無失点。今季2勝目でメジャー105勝&日米通算198勝をマークした。味方が6点を挙げたその裏、松井裕樹投手が2番手で登板。2/3回を投げ17試合目で初の被弾となる左中間2ランを浴びたがチームは6―3で逃げ切った。ダルビッシュは首の張りによる負傷者リストから復帰後10回を無失点で2連勝。防御率は2・94となった。7日(同8日)の同カード第2戦は、カブスの今永昇太投手が6勝目を掛けて先発する。

 ダルビッシュが古巣でもある敵地を支配した。5回を83球でまとめたハイレベルな無失点パフォーマンスには、変化を恐れぬベテラン右腕の技と工夫が詰まっていた。

 「前回より力がありましたし、体も元気だった。結果につながって良かったです」

 初回に二塁打と進塁打で1死三塁のピンチを迎えるが、ハップを空振り三振。モレルを三ゴロに打ち取り、リズムに乗った。最速95・3マイル(約153キロ)のシンカーから、最遅74・2マイル(約119キロ)のナックルカーブまで緩急差21・1マイル(34キロ)を駆使。8種類の球種を操り、ストライク率は75%を叩き出した。奪った15の空振りの中、8個を占めたのは、今季最高となる34%を占めたスライダーだ。5回を除く毎回走者を背負ったが、危なげない内容だった。

 「思い切ってメカニクスを変えた。球速が出ないことが多かったので、フォームやドリルを見直したり、本を読み直したりした。ちゃんと自分のレベルを見ておくのは大事なこと。どちらかというと2022年前半のフォームに近い。指から離れる感じとか、スライダーの強度にも感じるところ」

 負傷者リスト(首の張り)復帰戦で勝利しても、飽くなき向上心から、フォームの見直しに踏み切った。躍動感ある2022年版のフォームで球威を求める一方、ルーチンも変えた。試合前約3時間前に最初のウォームアップ。体の状態を確認し、試合前に2度目のウォームアップを経てブルペンへ。課題としていたエンジンの掛かりを早めるためだ。また、復帰後はプレートの踏み位置を三塁側へ。小さく速い曲がりのスライダーの軌道を打者に見えづらくするための工夫も欠かさない。

 気分転換で変えた黄色グラブとの相性も良く、復帰後2試合は10イニング無失点。変化を恐れず、進化を求め、日米通算200勝の大台もあと2と迫ってきた。

 リグレーフィールド通算30試合目の登板で37歳右腕のたゆまぬ努力が実を結んだ。