大人も子どもも、家族みんなが過ごしやすい家づくりに大切なことってなんだろう? vol.10では、築43年のヴィンテージマンションで暮らす、グラフィックデザイナー・板井亜沙美さん家族の住まいへ。部屋の中には、来歴不詳のユニークなヴィンテージ雑貨や、DIYの域を超えた素敵な造作家具など、気になるものがたくさん! さっそく子育てもおしゃれもはかどる、理想の住まいのヒントを探ります。

profile
Vol.10 ビンテージ×DIYをMIXする家・板井亜沙美さん邸
板井 亜沙美さん
グラフィックデザイナー
主に出版物や広告物のデザインを手がける。デザイン業のほか、趣味のものづくりにまつわる事業も構想中。
Instagram:@tgwasm1116

FAMILY:3人家族(パパ・ママ・長女4歳)
HOUSE TYPE:部分リノベ/分譲マンション
HOUSE DETAIL:居住歴4年/81㎡/2LDK
AREA:東京都

こだわりの住まいについて

センスのいい家族が暮らす家【Vol.10 ビンテージ×DIYをMIXする家・板井亜沙美さん邸】

アノニマスなヴィンテージ家具と造作家具で、
“好き”が調和する家づくり

グラフィックデザイナー・板井亜沙美さん家族の住まいは、築43年のヴィンテージマンション。部分リノベを施したという部屋の中は、ほどよくレトロで心落ち着く空間だ。「インテリアはアノニマス(作者不明)な古いものに惹かれます。なかなか求めているものに出会えないときは、自分たちでつくってしまうことも多いです」

なんと板井さん宅の家具のほとんどが、DIYで手づくりしたもの。板井さんが設計図を引いて、板井さんのお父さまが実際に造作している。「DIYが趣味の父。私がはじめてひとり暮らしをした家がとても狭くて、折りたためて、収納もできて、システマチックなテーブルが欲しいとオーダーしてみたら、なかなか精巧なものをつくってくれて。それから造作家具のおもしろさを知って、気付けば15年ほど父につくってもらっています」

雑誌や広告のレイアウトを考えるような感覚で、住まいづくりも収まりや心地よさを意識しているという板井さん。「いいなと思ったものが、わが家にはなんとなく合わない。そんなときは、その飾りたいものの色と、今家にある色を組み合わせて、アートを自作することもあります。空間と空間を繋ぐ、本来のアートとは違ったアプローチかもしれません。『好きなものをどう空間に馴染ませるか』、そう考える作業がけっこう好きだったりします」

LIVING & KIDS SPACE

センスのいい家族が暮らす家【Vol.10 ビンテージ×DIYをMIXする家・板井亜沙美さん邸】

家族それぞれの“好き”が集合!
キッズスペースも兼ねるリビング

「リビングには娘の遊び場があったり、夫の本棚があったり、私の好きなものを飾るディスプレイスペースがあったり。気付けばみんなリビングに集まっています」。まるで備え付けのように馴染む、窓際のベンチや本棚はDIYでしつらえたもの。「ベンチ下は主にオモチャを収納。もともとカゴ収納でしたが、量が増えて乱雑になってきたので、あとから引き出しを取り付けました。オモチャは定期的に娘と『いる・いらないゲーム』を開催して、見直す機会を設けています。娘はスパッと“いらない”を選択できるタイプ。感心します(笑)」

センスのいい家族が暮らす家【Vol.10 ビンテージ×DIYをMIXする家・板井亜沙美さん邸】

板井さん父お手製のドールハウス。ベッドや洗面台、ソファなど小物類も自作しているほか、照明は実際に点灯するという細かなこだわりも。「〈シルバニアファミリー〉の人形たちで遊べるように、既存のアイテムのサイズ感に合わせて家の大きさを考えてつくってもらいました」

センスのいい家族が暮らす家【Vol.10 ビンテージ×DIYをMIXする家・板井亜沙美さん邸】

リビングの一角にはデスクスペースも。「ここには私が好きなものをディスプレイ。骨董市で手に入れた動物のオブジェやアートを飾っています。実は額縁が大好きで、数えてみたら40個以上持っていました(笑)」。幾何学柄のファブリックが可愛いデスクの椅子は、千駄木のインテリアショップ〈FUNagain〉で購入。「家具はエッジの効いたアイテムと、飽きが来ない定番品とをバランスよく選ぶようにしています」

センスのいい家族が暮らす家【Vol.10 ビンテージ×DIYをMIXする家・板井亜沙美さん邸】

娘さんが愛用しているおままごとキッチンも板井さん父のお手製。「もともと初孫だった姪っ子にプレゼントしたもので、引き継がれて今、私の娘が使っています」。上に飾っているハートの絵は娘さんの作品。「娘がはじめて書いたアルファベットも一緒に額装しました」

センスのいい家族が暮らす家【Vol.10 ビンテージ×DIYをMIXする家・板井亜沙美さん邸】

家族3人で座れるソファは、昔〈無印良品〉で購入したもの。汚れても洗濯できるようにカバーは必須。

KITCHEN

センスのいい家族が暮らす家【Vol.10 ビンテージ×DIYをMIXする家・板井亜沙美さん邸】

使いやすさ&インテリア性を両立した
約5畳の広々キッチン

キッチンは5畳ほどとゆとりのある空間。キッチン背面のウォールラックには、よく使う食器類に加え、〈CEROTE ANTIQUES TOKYO〉で見つけたモノクロのアートや〈グランピエ〉で購入したろうそく立て、骨董市で見つけた手型のワインラックなど、ユニークな古道具たちが並ぶ。「キッチンが広くなってから、ごはんをつくるのが楽しくなりました。わが家は夫も家事をするので、使いやすい道具や収納方法については日々シェアし合って、都度アップデートするようにしています」

キッチンは5畳ほどとゆとりのある空間。キッチン背面のウォールラックには、よく使う食器類に加え、〈CEROTE ANTIQUES TOKYO〉で見つけたモノクロのアートや〈グランピエ〉で購入したろうそく立て、骨董市で見つけた手型のワインラックなど、ユニークな古道具たちが並ぶ。「キッチンが広くなってから、ご飯を作るのが楽しくなりました。我が家は夫も家事をするので、使いやすい道具や収納方法については日々シェアし合って、都度アップデートするようにしています」

システムキッチンは前の住人の方が残したものを継続して愛用。よくある化粧板だった吊り戸棚の扉は部屋全体の雰囲気に合わせてラワン材に。「自分たちでがんばって張ったグリーンのタイルもお気に入りです」。調味料ラックも造作で、詰め替えて使っているスパイスボトルは〈楽天〉で購入。好きなお店のショップカードやポストカードを冷蔵庫に貼ったり、バインダーに海外のレシピを挟んで吊るすアイディアも◎。

センスのいい家族が暮らす家【Vol.10 ビンテージ×DIYをMIXする家・板井亜沙美さん邸】

ついつい集めてしまうという木のスプーン。「マグカップは陶芸家・城進さんの作品。お気に入りでよく使っていたのですが、欠けてしまったので今は入れ物として愛用し続けています」

普段の食事はキッチンの一角に設けた、動線のいいセカンドダイニングで。白い半円テーブルは、もともと違う用途で使っていた2×4材を組み合わせてDIYしたもの。スツールは手作りのものと〈IKEA〉のもので、どちらも色を塗り直した。「我が家では、そろそろ変えどきかなと思った家具は、色を塗ってみたり、一度変化をつけてみるのが恒例です」

普段の食事はキッチンの一角に設けた、動線のいいセカンドダイニングで。白い半円テーブルは、もともと違う用途で使っていた2×4規格の木材を組み合わせてDIYしたもの。スツールは手づくりのものと〈IKEA〉のもので、どちらも色を塗り直した。「わが家では、そろそろ変えどきかなと思った家具は、色を塗ってみたり、一度変化をつけてみるのが恒例です」

娘さんのファーストスプーンは、額装してインテリアの一部に。「娘はとてもかじるタイプだったので、先端は欠けまくっているのですが、それすら愛おしいです(笑)」

センスのいい家族が暮らす家【Vol.10 ビンテージ×DIYをMIXする家・板井亜沙美さん邸】

キッチンは玄関の土間からも直接アクセスできる間取り。買い出し後、スムーズにキッチンへ食材を運べるのが◎。

DINING

ひとクセある古いものに、
造作家具を合わせる

人を招いたときに重宝している、エクステンション可能なダイニングテーブルは、イギリスミッドセンチュリーを代表する〈Nathan〉のヴィンテージ。クラゲのような形のダイニングライトは〈CEROTE ANTIQUES 〉で見つけたもの。「なかなか見かけないデザインで、空間をピリッと締めてくれます。3灯でガラスシェードなので結構明るいです。この照明との出会いで、ますますヴィンテージが好きになりました」。ラタン扉が可愛い板井さん父お手製のキャビネットには、娘さんの保育園グッズを収納。「〈無印良品〉のソフトボックスがぴったり入るように設計されています」

板井さん宅にはそこかしこに娘さんの作品が。ダイニングの棚には、折り紙を貼ってつくった犬の切り絵が飾られている。「額装することでひとつのアートとしての存在感が一層増します。娘の発想力にはいつも驚かされますよ」

インテリアショップ〈CEROTE ANTIQUES〉で購入した、アンティークのコンソールチェスト。天板は大理石。上に飾っている絵は板井さんが空間に統一感を持たせるためにご自身で描いたもの。

LDKと寝室を繋ぐ壁には、板井さんが指示書を書いて、お父様が実際に形へ起こした木工アートを展示。

BEDROOM

ふすまは木製にアレンジ、
ちょっとモダンな和室を目指して

夜は寝室として使っているという和室。「毎朝、布団を上げてリセットするのが日課。『一日始めるぞ!』と気持ちを切り替える場所になっています」。もともとあった押入れのふすまは、娘さんが穴を空けてしまったため、木製にDIY。よく着るパンツやシャツは、DIYでつくった黒い棚に収納している。「寝室はこれからもっと手を加えたい場所。LDKの流れを汲んで、もう少しモダンな空間へアレンジしていきたいです」

もともと床の間だったスペースには本棚を増設。「ここで寝かしつけをするので父にリクエストしてつくってもらいました」。子ども服がかかっているラックはおじいちゃんから孫へ、はじめてプレゼントした造作家具。「ちょっとした小物をディスプレイできる天板がついていたり、下部には引き出しも備わっているなど、意外と収納力があって便利です」

WASHROOM

収納は最小限に。
気分の上がる、丸い鏡がアクセント

家の中で唯一スケルトンにして一から造作したという、こだわりの洗面所。洗面台は〈IKEA〉。もともとついていた引き出しの化粧板は、キッチンの戸棚と合わせて、自分たちで塗装したラワンに張り替えた。アクセントになっている丸い鏡は、以前から憧れていたという〈秋田木工〉。タイルはキッチン同様、セルフでしつらえたもの。

センスのいい家族が暮らす家【Vol.10 ビンテージ×DIYをMIXする家・板井亜沙美さん邸】

青枠がポイントのシンプルな収納ラック。「不要なストック品を溜め込まないように、以前あった棚よりもひと回り小さな棚を父にリクエストしてつくってもらいました」


デザイナーならではの視点で、好きなもの同士を上手にレイアウトしながら居心地のいい空間を組み立てる、板井亜沙美さんの住まい、いかがでしたか? アートやオブジェの並べ方や、DIYアイディアなど、ぜひ参考にしてみてくださいね。