開館10周年を迎える、はじまりの美術館

猪苗代町にある築約140年の酒蔵、十八間蔵を改修して誕生した、はじまりの美術館。障がい者支援の活動をする安積愛育園が運営母体となる小さな美術館です。約50年にわたり障がいを持つ方の支援事業を担ってきた経験を活かし、「人の表現が持つ力」や「人のつながりから生まれる豊かさ」を大切に考え、「誰もが集える場所」として既存の枠組みにとらわれない作品やアーティストを紹介しています。

田湯加那子《無題》2014年

はじまりの美術館ではこれまで、福祉、障がい、アート、私たち自身など、アートの企画展を通してさまざまなテーマについて来場者とともに考えてきました。

展覧会コンセプト

三井啓吾《とり》1994年

今回の展覧会では美術館名にもなっている「はじまり」や、「きてん」「てんき」をキーワードにして春と夏に企画展が実施されます。

関口光太郎《手品師》2023年

4月27日(土)より開催している春会期のテーマは「起点/origin」。開館10年を振り返ります。さらに起点や起源などを感じられる作家や作品が紹介されます。

8月3日(土)より開催される夏会期のテーマは「転機/start」。次の状態に転じるきっかけや変わり目といった意味を持つ転機という言葉に、ふたたび物事がはじまるといった意味も捉え、これまでの10年やこの地域のこれまでの歴史から繋がるこの先の10年、20年を考えて、その時に転機となるような作家や作品が紹介されます。

春会期3つの見どころ

1. はじまりの美術館の「起点」、表現の「起点」

青木尊《ウララちゃん》1997〜2004年頃

社会福祉法人安積愛育園としての最初の展覧会を開催した青木尊の作品を紹介するほか、2014 年の開館記念展「手づくり本仕込みゲイジュツ」に出展した佐藤香による新作などを紹介。

佐藤香《北で生きてきた》(部分)2023年 撮影:岡はるか

はじまりの美術館のこの10年を振り返りながら、起点や起源などを感じていただけます。

2. 身近な素材のさまざまな表現

東京藝術大学2024年度新入生960名meets HIBINO《Holes that reveal the future》2024年

身近な素材を使って制作された絵画や立体作品を紹介。紙、土、絵の具、色鉛筆、新聞紙、ガムテープなどを使った作品で、さまざまな表現を感じていただけます。また、東京藝術大学の入学式にて行われたワークショップにて制作された作品《Holes that reveal the future》が、実際の作品の束と約1000枚の写真で紹介されます。

3. イベントやワークショップの開催や、参加型作品の展示も!

関口光太郎《手品師》2023年

会期中にはイベントの開催や参加型作品も展示されます。はじまりの美術館スタッフが作家や作品の紹介を行うギャラリートークのほか、来場者が参加できる仕掛けが施された関口光太郎の作品は会期中展示風景が変化していくそう。その他さまざまなイベントも開催予定です。

はじまりの美術館の「はじまり」を考えることは、アートだけでなく今を生きる私たち自身のことを考えることに繋がります。
「てんき」がキーワードとなる夏会期に向けて、本展で「きてん」について考え、感じてみてはいかがでしょうか。

展覧会概要

はじまりの美術館 開館 10 周年企画 「 き・てん・き・てん」 展 <春会期>
会 場:はじまりの美術館(福島県耶麻郡猪苗代町新町4873)
会 期:2024 年4 月27 日(土)〜7 月15 日(月・祝) 10:00〜18:00  ※火曜休館
料 金:一般500 円、65 歳以上250 円、
     高校生以下・障がい者手帳をお持ちの方および付添いの方(1 名まで) 無料
出展作家:青木尊、佐藤香、関口光太郎、田湯加那子、
     東京藝術大学2024 年度新入生960 名meets HIBINO、三井啓吾