40代で出産と子育てがめずらしくない昨今、「疲れた」が口癖になっている方、いませんか。『体力アップ1年生』(KADOKAWA)は、そんなアラフィフ女性のリアルを綴ったコミックエッセイ。

 『体力アップ1年生』(KADOKAWA)たかぎ なおこ (著)

ゆる〜くてもいい、運動をまた始めてみよう

著者のたかぎなおこさんは42歳で出産、現在47歳ですが、日々、体力ダウンを感じているといいます。子供はまだ幼く、子育てにも体力が必要な時期。「疲れた」なんてつぶやいている場合ではないのです。

とはいえ、世のアラフィフ女性も仕事に家事に子育てに奔走し、必然的に疲れています。しかも運動する暇もないのが実情。本書はそんな方々のために、すきま時間を使ったエクササイズや生活リズムを提案しています。

合言葉は「ゆる〜くてもいい、運動をまた始めてみよう」。さあ、今こそ重い腰をあげましょう。

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小さなことから始めてみる

朝、起きて、食事の支度。自分の身支度。子供の面倒。この生活から隙間時間を見つけるのも難しそう。あきらめるのはまだ早い。レンチンしている間にスクワット、歯磨きしている間に爪先立ち、等々、ちりつも運動は必ずあります。

本書の「『ついで運動』できるかな」が、まさにそれ。床みがきや窓拭きの動作を大きめに、というのには思わず大きく頷いてしまいました。掃除もダンスよろしく全身を使ってやればかなりの運動量ですし、部屋もきれいになって一石二鳥です。

まずは、運動に対する固定観念を捨ててみるのも大事だと思いました。ジムに行かねばならない、ウエアやシューズを身につけなければならない、といったいわゆる形から入る形式ですね。

いいえ、形から入ってもいいのですが、仕事に家事に子育てに追われていればカッコなんかつけていられません。掃除ついでに動き、子供のお迎えついでに走って、少しでも効果があれば次のステップへ広げていけばいいのです。

生活スタイルに合わせて探してみよう

コロナ禍を経て、オンラインフィットネスがすっかり定着しましたよね。オンラインのいいところは、自分のスケジュールに合わせて選べるところ。とはいえ、多少なりともスペースは取られますし、小さな子供がいる場合、集中できない可能性もあります。さらにオンラインだからこそ、ついついサボりがちになってしまうことも。

本書でも各種エクササイズに挑戦していますが、個人的に楽しそうだと思ったのが「60分のグループファイトレッスン」。これは「格闘技の動きを音楽に合わせて行うエクササイズ」です。

キックやパンチなど、動きは激しそうですが、運動と同時にストレス解消になりそうなのです。「敵は倒れているぞ!」なんてMCが入るとゲーム感覚で熱中できそうじゃないですか。

外に出るのもよし、内にこもるのもよし。体づくりの手段は多種多様。自分に合ったエクササイズを見つけて、とにかく楽しみましょう。



アラフィフからの健康ライフ

仕事に家事に子育てに、手いっぱいなアラフィフ。でも、いずれ子供は巣立ち、夫婦だけ、あるいは自分中心の生活にシフトチェンジしていきます。その時こそ、体力がものをいうと思いませんか。

人生の後半戦を心置きなく過ごすために、運動だけではなく食生活も見なおしましょう。本書では、同世代の仲間でグループラインを作り、運動や食事を報告しあっているのです。

やはり仲間がいると励みになりますし、モチベーションも上がります。なによりも「つながっている感」が、アラフィフ以降には必要ではないでしょうか。

ネット社会で人とのつながりが希薄になっていると言われていますが、孤独というのは心の体力を奪うのです。気心の知れた少数の仲間がいれば、運動だって食事だって「やるか!」という気になります。

「疲れた」という言葉が出てしまうのは、毎日一生懸命がんばっている証拠。そんな自分を認めつつ、明日の疲労を軽減するために、今、軽くゆるく、動いてみようじゃありませんか。

<文/森美樹>

【森美樹】
1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)を上梓。Twitter:@morimikixxx