5月4日(土)、富士スピードウェイでスーパーGT第2戦の決勝レースが行なわれ、GT300クラスはポールポジションからスタートした88号車JLOC Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)がまさに完璧な勝利を飾った。

 圧倒的な速さを見せポールポジションを獲得した88号車は、元嶋がスタートから2スティントを担当。スタートからの8周で後続に5秒以上の差を築く、まさに独走でレースを支配した。

「本当に嬉しいというのが素直な気持ちです。自分のスティントを振り返ると、本当に後ろを一度も見ることなく前だけ見て、自分のラップタイムだけ見て走っていました」

 レース後の記者会見で、元嶋はそうレースを振り返った。

「ずっとプッシュしながらもタイヤ壊さないようにとか、他の車と当たらないようにとか注意しながら、すごい冷静にレースできました」

「プッシュしてもそれに応えてくれるヨコハマタイヤさんのおかげで2時間、最後の最後まで楽しんで走ることができました。ロングスティントの後半はタイヤが垂れてきて、つらくて早くピットに入りたいなって思うことが多いんですが、今日はもう黙ってタイムが出るから楽しんで走っていました」

 大量リードを築いた元嶋からバトンを受け取った小暮は、その時点で15秒ほどあったリードを保ち、2位となった56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rに17.7秒差のまさに完勝を果たした。

「昨年の最終戦で優勝できまして、また開幕戦を挟んで優勝できたということで本当に嬉しいですね」と、小暮は語った。

「チーム、いろんなスタッフ、関係者、スポンサーさん、さっき元嶋さんも言ったようにヨコハマタイヤさんに本当に感謝したいなと思ってます」

「レースは前半のスティントで元嶋選手にある程度マージン作ってもらったので、僕としてはすごく気が楽でした。ただやっぱりそういうときこそ何かがあるかもしれないっていう、その危機感を持ちながら、タイヤも使いすぎず、状況も見つつ、確実に走って、結果としてそのまま狙い通り優勝できたので、今ほっとしてます」

 レースの中で苦しんだところはあったかという質問に、元嶋はマシンを降りた後の方が苦しかったと話し、あまりの好調さからメインプランではなかったタイヤ4輪交換も可能になったと明かした。

「自分が乗り終わって、小暮さんが走ってるのを見てるのが一番苦しかったですね。もう早く終わらないかな、何も起きて欲しくないな〜〜って。スタートして本当にレースをコントロールできるぐらいのスピードがあったので、何もなければ本当に大丈夫だと思っていたんです」

「バックアッププランではないですが、そもそも僕たちは四輪交換する予定でもなかったですし、二輪交換でいって、それで稼いでいこうって考えていました」

「ちなみに僕走ってる自分のスティント中にずっと宿題出されてたんですよ。なんか2番手以降に20秒(差)はないと4輪交換はさせないぞ、そうじゃなかったら2輪だって言われたんすけど、その宿題出したのは多分小暮さんじゃないかなと思って頑張ってプッシュしました」

 この元嶋の”推測”に、小暮は「いや。(宿題は)出してはないですよ。心の中では頼むって思いましたけどね」と返した。

 次戦に向けての意気込みを聞かれると、元嶋は今季がキャリアの中でも初めてと言えるほどチャンスを感じていると話した。

「今まではやっぱり一戦一戦優勝を目標に、みんなで空回りしながら戦っていましたが、昨年優勝したことでオーナーの則竹(功雄)会長がチームを強化してくれて、ヨコハマタイヤさんもすごい良いタイヤを準備してくれました。道具が本当に揃ってる環境って、なかなか長いキャリアの中でないと思うんですね」

「こんなにチャンスに恵まれている年だと感じられるのは、長いキャリアの中でもなかなかないと思いますし、初めてです。チャンピオンシップを目指して、一戦一戦大事に戦っていきたいと思っています」

 小暮も元嶋同様、チャンピオン争いに向けてやる気をみなぎらせた。

「元嶋選手とほとんど同じですが、長くチームに在籍してますので則竹さんの優勝したいチャンピオン獲りたいって想いをずっと聞いていました。それが本当に形になってきたなと。なので今年はより強いチームにしたいですし、良いドライバーとして仕事をして良いクルマを作りたいなと思ってます。それでチャンピオン争いができたらいいなと思ってます」

 なお、開幕戦ウイナーの2号車muta Racing GR86 GTが今回6位となり、27ポイント獲得でポイントリーダーの座を死守。88号車は1ポイント差でランキング2番手につけている。