東京・銀座の繁華街を抜けていく高速道路が、連休中に「歩行者天国」に変貌。一体どんなイベントだったのでしょうか。

高速道路から見る東京都心の風景は!?

 東京・銀座の繁華街のビル群を抜けていく高速道路が、連休中に「歩行者天国」に変貌。普段はクルマ以外立ち入れできない道路上を、徒歩で楽しめるようになりました。
 
 一体どんなイベントだったのでしょうか。

 歩行者天国になったのは、京橋から銀座を経て新橋へ向かう高架道路「東京高速道路」、通称「KK線」です。

 KK線は首都高がカバーしていない銀座エリアへのアクセスとなるほか、都心環状線の第2ルートとして、首都高八重洲線の延長線上で「神田橋〜丸の内〜新橋〜汐留」という移動経路の一部ともなっています。

 KK線の最大の特徴は「通行料無料」という点です。東京高速道路は、高架下のテナントの賃料収入で、道路施設の維持管理をまかなっているビジネスモデルなのです。

 そんなKK線を歩行者に開放するイベントが「GINZA SKY WALK」です。

 2023年のGWに初開催され、3000人の参加枠に2万7000人が応募するほど、注目を集めました。2回目となる2024年は参加枠を1万5000人に大幅拡大し、5月4日から3日間にわたって大々的に行われました。

 歩けるのは新橋入口から、東海道新幹線の線路前で直角カーブして北上し、有楽町を抜けてさらに直角右カーブ。新京橋出口へ至る約2km、KK線のほぼ全線です。

 さて、初日となった4日は、14時の開放開始とともに、多数の参加者が高架上を歩き始めていました。

 新橋の直角カーブとその先では、新幹線がすぐ真横を駆け抜けていきます。子供たちが興奮の声をあげ、通過シーンを写真に収めている人もいました。

 有楽町へ出ると、銀座の喧騒を、高い場所から見下ろすことができます。ビルの窓とはちがい、完全に「屋外」から俯瞰して眺める銀座の街は非常に新鮮です。2車線の高架はビルとビルの谷間をクネクネとすりぬけていき、地上の喧騒と無縁に、飄々と歩行者を導きます。まさに未来都市のような、東京の中心にいながらどこか非現実な光景に圧倒されます。

 今後KK線の一部は、殺風景な道路でなく「緑道」へ生まれ変わります。その姿を示すのが今回のイベントで、一部エリアに緑道が設けられていました。

 最初の緑化エリアは、JRの線路に並行する直線区間にありました。道路脇にカウンターがずらりと並び、新幹線や山手線の電車を眺めながら、椅子に座って休憩できるようになっています。将来的にはこうした場所で、カフェで飲食も楽しめるほか、プチステージでイベントが開催できるようになります。

 有楽町エリア(西銀座出口前)では、さらに大々的な芝生空間が用意され、ステージで大道芸や狂言などのイベントが行われていました。周囲ではテントが並び、地方特産物や企業出店などの特設ブースが行われており、そこで飲食物やグッズが買えます。GW後半の4連休は晴れ間が広がり、雲一つない青空の下。事前抽選制ということもあり、GWのもみくちゃの混雑とは無縁ののんびりとした雰囲気で、人々は都心の雰囲気を楽しんでいました。

近い未来に「KK線の歩行者空間化」が実現する!?

 実はこのイベント、単なる一般開放というわけではありません。実は、KK線は数年後に廃止される予定になっていて、廃止後は高架部を残して「緑道化」する計画であり、そのリハーサルのような意味もあるのです。

 KK線が廃止されるのは、都心環状線に代わる新たな八重洲経由の地下ルート「新京橋連結路」の整備が始まるからです。

 江戸橋経由の都心環状線ルートは、箱崎方面の交通と交錯して渋滞に悩まされています。その抜け道ルートとなる八重洲〜KK線ルートは、大型車が通行できないという課題がありました。また、日本橋川の区間を地下化して高架を無くし、本来の川と橋の姿を取り戻そうというプロジェクトが始まりました。 

 これらをふまえ、新ルートとなるのが「新京橋連結路」で、2035年の開通を予定しています。KK線は先行して役目を終えることとなるわけです。

 使われなくなったインフラを活かし、「また違った視点で東京の大都会を楽しむことができる」スポットとして再生する事業が、いよいよ本格始動しようとしています。