伊豆半島を南北につらぬこうとする高規格道路「伊豆縦貫道」。その最難所「天城峠越え」区間が、着工に向けて進みつつあります。開通したらどう便利になり、話はどこまで進んでいるのでしょうか。

最難所「天城峠越え」区間

 伊豆半島を南北につらぬこうとする高規格道路「伊豆縦貫道」。
 
 その最難所で、最後までルートが決まっていなかった「天城峠越え」区間が、着工に向けて進みつつあります。
 
 開通したらどう便利になり、話はどこまで進んでいるのでしょうか。

 伊豆縦貫道のルートは、東名の沼津ICから南へ分岐し、修善寺を経由して、半島中央部の山岳区間をまっすぐ南下し、下田へ抜けるものです。

 今や、沼津から修善寺を過ぎて、半島中央部の月ヶ瀬まで「信号ゼロ」で到達できるようになりました。厳密にいえば一部区間は「伊豆中央道」にあたるのですが、”伊豆半島全通”へはかなり進んでいます。先端部でも「河津下田道路」が一部開通しています。

 いっぽう、着工すらまだなのが、長い山岳区間である「天城峠」周辺です。長らく概略ルートすら決定していませんでしたが、最近になって進展が加速しています。

 まず、2021年に計画段階評価によって概略ルートが決定。峠の東側もしくは西側を経由するという計3案から、自然への影響や経済性なども考慮し、峠西側を経由するルートが最終選定されています。

 これをもとに、2023年2月までに都市計画決定と環境アセスメントが完了。

 そして、2023年4月に、晴れて「天城峠道路」として国の事業化を果たしました。今年は事業開始から2年目を迎えています。

もっとも、予算等の関係で、まずは峠に差し掛かるまでの北半分の5.7km(月ヶ瀬〜茅野)だけの先行事業化となります。この区間の工事がある程度進展した段階で、残りの本格的な峠越え区間も事業化を果たしていくと思われます。

 伊豆縦貫道が全通すれば、長い急勾配のクネクネ道路から解放されるほか、混雑の激しい海岸線ルートのバイパスとしても期待がかかります。沼津〜下田の所要時間はわずか60分へ短縮されると見込まれています。「天城峠道路」工区の設計構造は2車線道路で、設計速度は80km/h。トンネル主体で峠を抜けていきます。