損害保険大手4社は23日、自動車保険加入者の氏名や契約情報などが代理店を通じ、競合他社にメールで漏えいしていたと発表した。損保大手では、ビッグモーターによる保険金不正請求や企業保険のカルテルといった不祥事が相次いで発覚。各社は不正根絶を誓ったばかりだが、横並びを重視し、法令順守をないがしろにする業界の根深い体質が改めて露呈した。金融庁が実態把握を進める。

 4社は東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険。顧客に無断で事実上、保険加入者に関する情報を共有していたことになり、個人情報保護法に抵触する恐れもある。漏えいしていた情報には証券番号や保険の種類、契約の満期、保険料などが含まれる。情報の不正使用は確認されていない。

 漏えいの原因となったのは、損保複数社の商品を扱う「乗合代理店」。満期が近い加入者の更新漏れを防ぐなどの目的で自動車ディーラーなどにメールを送る際、本来は顧客が契約した損保会社と個別にやりとりすべき契約情報を、複数社にまとめて送っていた。