株式会社マイナビグローバル(東京都千代田区)は、このほど「日本在留外国人の日本での就労意欲・特定技能への意識」に関する調査を実施しました。同調査によると、約9割が現在の在留資格が切れた後も「日本で働きたい」と回答した一方で、2022年調査時よりも5.8pt減少し、外国人材の日本での就労意欲はやや低下していることが分かりました。在留外国人が日本で働きたくない理由にはどのようなものがあるのでしょうか。

調査は、日本に在留する外国人を対象として、同社の登録者、提携する日本語学校・専門学校などの留学生、日本での就職を希望するFacebookグループ・コミュニティーへの案内で依頼し、2024年1月〜2024年2月の期間にインターネットで実施されました。

調査の結果、「現在の在留資格が切れた後も日本で働きたい」と答えた在留外国人は91.0%。2022年の調査時の96.8%から5.8ptの低下となり、外国人材の日本での就労意欲はやや低下していることが分かりました。

また、「今後も日本で働きたい」と回答した人を国籍別にみると、「ベトナム人材」は85.9%で22年調査時から12.1ptの減少となりました。

一方、「インドネシア人材」は94.4%、「ミャンマー人材」は97.0%、「ネパール人材」は96.9%、「中国人材」は97.8%が今後も日本で働きたいと回答しており、国籍によって差が出る結果となりました。

そこで、「日本で働きたくない理由」を複数回答で答えてもらったところ、「円安だから」(38.5%)が最も多く、次いで「働く環境が悪いから(長時間労働など)」(30.8%)、「母国で家族と住みたいから」(25.0%)が続きました。

一方、「給料の低さ」は19.2%に留まっていることから同社は、「給料は一定であっても円安により自国通貨に換算した際の収入が減少するため、日本で働き続ける意欲が低下している可能性がある」と推察しています。

次に、「就職先を選ぶ際に重視するポイント」について複数回答可で聞いたところ、「給料(ボーナス含む)」(69.8%)が最多となったほか、「仕事内容・職種」(65.1%)、「勤務地(エリア)」(51.9%)、「自分が成長できる環境がある」(51.2%)といった回答が上位に挙げられた一方で、「残業の少なさ」は12.5%と最も低くなりました。

これを22年の調査と比べると、「給料(ボーナス含む)」(9.9pt増)や「社員の人間関係が良い」(27.6pt増)などの項目で上昇傾向がみられました。

さらに「社員の人間関係が良い」を選んだ人を在留資格別にみると、「特定技能」(56.1%)の資格を持っている人の割合が高いことが分かりました。

「特定技能」とは労働力不足が顕著な産業で働く外国人材を受け入れるための在留資格で、2号は熟練した技能を要する業務に従事する外国人材のための在留資格。1号と異なり、家族帯同や在留期限の更新、永住許可申請が可能となっています。

そこで「特定技能を知っている」と答えた551人に、「特定技能2号」の対象分野の追加についての認知度を調査したところ、76.8%が「知っている」と回答。

なお、「特定技能2号について知っていること」としては、「家族と一緒に住める」「特定技能2号になるために必要な条件」がいずれも50.8%で最多となったことから同社は、「特定技能2号で就労したい理由も家族帯同が可能であることの割合が高かったことからも、家族と日本で生活したいという願望があることが推察される」とコメントしています。

また、帰国を予定している人を除いた567人のうち63.6%が「特定技能2号で働くことを考えている」と回答。その理由を複数回答で答えてもらったところ、「永住できる可能性があること」(44.0%)、「家族帯同が可能なこと」(41.8%)、「特定技能で働きたい業界・職種がある」(41.3%)、「在留期限をずっと更新できる」「キャリアアップしたい」(いずれも40.7%)などが上位に挙がりました。

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【出典】
▽マイナビグローバル