頭が2つあるマムシの死骸が、福岡県北九州市で発見された。ひょろっとしたヘビのような胴体の先に、頭が2つ。市内の山中でキャンプしていた男性が見つけたという。専門家は母親のお腹にいる時に突然変異が起こった可能性があるといい、「双頭で生まれてくる確率は数万分の1と言っても言い過ぎではないと思います」と話す。

双子だったのがくっついた!?

発見したのは、北九州市八幡西区へ家族でキャンプに訪れていた男性。5月4日午後2時ごろ、コンクリートで舗装された山道の脇で、ヘビのような死骸を見つけた。長さは約20センチで、太さは1.5センチほど。頭が2つになっていることに気付くと、保育園児の子どもも「すげ〜!!」と驚いた。最初は埋葬するつもりだったが、種類や双頭の確率をネットで調べるうちに珍しいことが分かり、地元の北九州市立いのちのたび博物館に連絡した。

「珍しいことなのでびっくりしました。よくあることではないです」。そう話すのは、爬虫類や両生類を15年間研究する学芸員の江頭幸士郎さん(37)。江頭さんがこれまでに双頭の生物を見たのは2例で、マムシとシマヘビの1例ずつ。今回は毒蛇で知られるニホンマムシで、出産期の秋頃に生まれて、生後半年くらいで死んだとみられる。「お腹の中で双子だった個体が何らかの理由でくっついてしまったのではないかとも考えられます」と説明する。

昨年には、群馬県のジャパン・スネークセンターが双頭のマムシを保護し、4日間だけ一般公開された末に死んだ例がある。右頭部からしかえさを食べず、左頭部の口の中に奇形が見られ、気道がほぼふさがって呼吸ができない状態だったとされる。江藤さんは「今回のマムシがどうして亡くなったのかは分かりません。喉がY字になっているのかなど、CTスキャンなどを使っていずれ調べたいと考えています」と話す。

マムシは現在、標本化の準備を進めており、夏頃の一般公開を目指している。

(まいどなニュース・山脇 未菜美)