クラウドコマースプラットフォーム「ebisumart(エビスマート)」を提供するインターファクトリーは昨年10月、BtoB事業部を立ち上げ、BtoB‐ECサイト構築体制を強化している。既存ソリューションとは切り分けた、BtoB専用の「ebisumart BtoB」も用意している。BtoC同様にクラウドならではの機能が拡張していく最新性、個別でカスタマイズ対応する柔軟性といった強みを、BtoB‐EC領域でも発揮する。BtoB‐ECサイト構築における強みや体制強化の取り組みについて、BtoB事業責任者の湯浅啓人氏に聞いた。


――BtoB‐ECサイト構築においては、どのように体制やサービスを強化しているのか?

BtoB‐ECの支援体制をより強化するためにBtoB事業部を昨年10月に設立した。事業部を立ち上げる以前から、BtoB‐EC向けの機能や支援体制は強化していた。2023年の頭からBtoB‐EC専用の機能を開発する担当者を付けて、機能開発に着手していた。

「ebisumart」はもともと、BtoC‐ECサイトを構築する企業さまに提供するケースが多く、BtoB‐ECサイトを構築する企業さまには、「ebisumart」にBtoBのオプション機能を付加するような形で提案していた。ただ、現在は完全にソリューションを切り分けており、BtoB‐ECサイト構築は、「ebisumart BtoB」をご提案させていただいている。

――BtoB‐ECの構築依頼は増えているのか?

以前よりもBtoBの構築依頼が増えてきている。アフターコロナでも需要が衰えていない。それぞれの業種の大手企業が先行してウェブ化、DXを進めており、それに続く形で準大手、中堅企業のウェブ化、DXも進んでいる印象だ。

――BtoB専用のソリューションが加わり、「ebisumart」シリーズのラインアップはどうなっているのか?

BtoC‐EC向けのクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」を始め、スモールスタート向けの「ebisumart zero(エビスマート ゼロ)」、大規模ECサイト向け「ebisu commerce(エビス コマース)」があり、さらに「ebisumart BtoB」が加わり、4つのソリューションのラインアップになっている。また、データ統合・活用を可能とするサービスも提供予定である。

――「ebisumart BtoB」の特徴は?

既存の「ebisumart」からBtoCでしか使わない機能を削ぎ落とし、BtoB向けの機能を備えた、BtoB‐ECサイトを構築したい企業が導入しやすいソリューションとなっている。

――BtoB‐ECサイトの構築依頼ではどのようなパターンがあるのか?

BtoB‐ECの領域は、大きく分けて2パターンのニーズがある。1つが法人顧客向けのBtoB‐ECサイトを構築し、新規の取引先を獲得していきたいというニーズだ。こちらは特定の業界からの依頼が多く、サイト構築では決済方法をしっかりとそろえたり、商品の探しやすさにこだわるといった要望が多い。その場合は既存の「ebisumart」でも対応できる。

もう1つが既存の取引先との受発注や出荷指示、在庫確認などの業務を効率化したいというニーズだ。こちらは比較的、大手・中堅企業からの要請が多く、「ebisumart BtoB」をベースに各社の商習慣に合わせてカスタマイズ対応している。

当社ではどちらのニーズにも対応でき、案件に応じて提供するソリューションを分けている。

――「ebisumart BtoB」にはどのような機能があるのか?

BtoB向けの機能としてはまず、受注残の管理ができるようにしている。既存の「ebisumart」とは、受注処理のロジックや在庫の引き当て方を大きく変えている。

細かい機能だと、コードやCSVで一括注文できる機能なども提供している。業種ごとに適した機能も開発を進めている。

――BtoB‐ECの構築では、業種ごとの違いもあるのか?

業種ごとに違いはある。同じ業種であれば応用できる機能も、異業種だとフィットしないケースは多い。当社では、そうした業種ごとの違いも考慮し、当面はターゲットの業種をある程度絞って、機能開発を進めている。特定の業種に対応した機能を用意しておくことで、その業種の事業者さまの開発コストを下げることができ、提案しやすくなる。

――どういった業種に特にフォーカスしているのか?

業種と言っても幅広いが、製造業や商社、卸業などからの依頼が多く、専用の機能開発も進んでいる。メーカーのグループの中で保守メンテナンス用品を取り扱っている企業さまからご依頼をいただいたり、商社でも大手もあれば、専門商社からご依頼をいただくケースもある。ノウハウも積み上げており、今後もさらなる機能開発を強化していく。

――ターゲットのBtoB事業者の規模は?

中小規模から中堅・大手まで幅広く対応している。BtoB専用のECサイト構築プラットフォームだと、ASP型カートシステムが対応している中小規模と、スクラッチ開発をメインとしている大手の間ぐらいの規模の案件がメインになっていると思う。

BtoC‐ECでも「ebisumart」はASP型のクラウドシステムと、カスタマイズ対応するパッケージシステムのいいとこ取りをしているが、その強みはBtoB‐ECにおいても変わらない。

案件は中堅規模の方が多いが、誰もが知るような大手企業からの構築依頼も来ている。

――BtoC‐ECとBtoB‐ECの構築を両方一括で受けるケースは多いのか?

一括で受けるケースはそこまで多くはないが、当社はどちらにも対応できるので両方を支援させていただく機会がある。

一度サービスをご導入いただいた場合は、その実績により、もう一方のBかCも支援させていただいたり、当初から両方の構築をご依頼いただくケースもある。当社としてもお客さまのご理解が深まった上で、もう一方の構築のご提案ができるので提案精度は高まる。お客さまにとってもマスタを共通化したり、当社の担当者とのコミュニケーションが取りやすかったりするメリットがあるだろう。

――BtoC‐ECでは、「ebisu growth(エビス グロース)」などコンサルティングや運用支援のサービスを充実しているが、BtoB‐ECでも構築以外の部分で提供しているサービスはあるのか?

BtoB‐ECにおいてもコンサルティングや運用支援のサービスがある。それに加えてパートナーとの協力体制を強化し、支援体制を整えている。コンサルティング会社との業務提携やSIer、ERPベンダーと連携を開始している。

――BtoB‐EC領域で今後さらに強化していく機能やサービスは?

BtoBならではの発注方法に対応する機能を強化していきたい。業種によっては長さや重さなどの単位で業務を行っているケースも比較的多いので、そういった業務に対応できる機能も提供できるようにしたい。他にもBtoBならではの機能開発を強化していく。



■「ebisumart」
https://www.ebisumart.com/

■「ebisumart」BtoB向けECサイト構築・導入
https://www.ebisumart.com/ext/solution/btob_lp.html