日本航空(JAL)は空港で航空機の誘導や貨物の搬送を行う地上支援業務(グランドハンドリング)に自動化技術を相次いで導入する。2024年秋にリモコン式航空機けん引機を導入するほか、リモコン式機体洗浄車についても導入を検討する。貨物けん引車の無人運転や遠隔運転技術の開発にも着手する。今後の国際線や貨物便の増便に対応できるよう、効率的な仕組みづくりを目指す。

JALは羽田空港(東京都大田区)と伊丹空港(大阪府豊中市)に合計2台の小型機用リモコン式航空機けん引機を導入する。ブラジルのエンブラエル製の機体をけん引するため、認証を取得し準備を整えた。今後、小型機を使う他の空港への導入も検討する。

一方、リモコン式機体洗浄車は発注要件を整理中で、早ければ24年度中に2台を発注する。羽田空港、または成田空港(千葉県成田市)への導入を検討する。

同社はグラハン関連の設備更新に毎年数十億円投資しており、自動化設備への投資もこれを基準に進める。

貨物コンテナを運ぶけん引車の遠隔運転は、名古屋市内から中部国際空港(愛知県常滑市)の車両を遠隔運転する実証実験に参画し、良好な結果を得ている。実用化には車両の電気自動車(EV)化やコックピットの小型化などが必要とみて、24年度中に次の開発計画をまとめる。別途実証実験を行う自動運転は、25年度に無人運転の実現を目指して開発を続ける。

一方で自動化技術がすぐに省人化につながるとはみておらず、まず導入して現場で技術を習熟させる。その上で国際線などの増便をにらみ、自動化技術を取り入れた効率的な体制を構築していく。


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