印刷大手2社は13日、2025年3月期はそれぞれ増収営業増益を見込むと発表した。デジタルビジネス関連が好調なほか、紙の印刷事業の縮小に伴う配置転換といったポートフォリオ改革が寄与する。

※自社作成

ただ、エレクトロニクス事業の営業利益は両社ともに前期比約7%減を予想。フォトマスクは両社ともに通期で好調と見ているが、TOPPANホールディングス(HD)は「半導体パッケージ基板の『FC―BGA』が24年前半は厳しい」(黒部隆取締役常務執行役員)、大日本印刷(DNP)も「黒崎工場(北九州市八幡西区)で5月に稼働予定の有機ELディスプレー製造用メタルマスクの大型品生産ラインの償却費負担が響く」(小島拓也IR室副室長)という。

両社は環境負荷低減に貢献する商材にも力を入れており、TOPPANHDは透明バリアーフィルムを使用した軟包装パッケージの欧州市場での普及に期待する。一方、DNPは電気自動車(EV)などに搭載するリチウムイオン二次電池の外装材「バッテリーパウチ」の中長期的な伸びを見込む。後工程の新工場も米国で26年度から稼働予定だが「状況次第で現在検討中の前工程の(米国への工場)進出を先送りにする可能性もある」(小島IR室副室長)という。


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