東レは22日、先端半導体向けモールド離型フィルムを発売したと発表した。国際的に規制の検討が進む有機フッ素化合物(PFAS)を使用せず、モールディング工程で課題となっていた金型汚れを5分の1以下に抑える。先端半導体製造の稼働率向上に貢献する。2030年に売上高40億円を目指す。

開発した離型フィルムは後工程の半導体パッケージングで、モールド樹脂を覆い外部環境から保護するモールディング工程で使用する。同工程では金型汚染防止のため、モールド樹脂と金型の間に離型フィルムを設置する。独自技術により、金型汚れの原因物質を遮断するガスバリアー性を高めた。また先端半導体の形状複雑化に伴うモールド成形時のフィルム破れ、フィルムのシワのモールド樹脂への転写を抑制する耐熱柔軟性を備えた。

従来の離型フィルムはPFAS材料が使用されているが、過度な柔軟性によるフィルム破れやフィルムのシワの発生による歩留まり、生体への影響懸念が課題となっている。東レはポリエステルフィルムで代替。PFASフリーの離型層と革新的微細構造制御技術「ナノアロイ技術」などを活用して、フッ素系フィルムに近い柔軟性を確保した。


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